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- 今年の読書(59)『絶望の歌を唄え』堂場瞬一(ハルキ文庫)
警察官・刑事を主人公とした作品が多い<堂場瞬一>ですが、本書『絶望の唄を唄え』は引退した元警察官の「安宅真」を主人公に据えています。
元警視庁公安部外事第三課の「安宅真」は、10年前に東南アジアの某国の選挙の監視のためにPKO職員として派遣されました。その際にイスラム過激派の「聖戦の兵士」による自爆テロに遭遇、現地で知り合ったジャーナリスとの「田澤」と別れた直後での爆発で彼の行方は分からず、死の恐怖を味わった「安宅」は警察を辞め、好きな70年代のロックファンでウィッシュボーン・アッシュ、レイナード・スキナード、ヴァン・モリソン、クィーン、ディープ・パープルなどのLPを流す喫茶店をひとり神田神保町で営んでいました。
そんなある日、喫茶店の裏側にあるビルに軽トラックが飛び込む爆弾テロが起こり、それを機に、謎の女性の登場、政治界のフィクサーであった「水田」が殺され、第2の爆弾テロが発生します。
10年住み慣れた静かな神保町の町を守べく、背後に東南アジアでテロに遭遇し行方不明となった「田澤」の影がちらつく中、「安宅」が動き出します。
随所随所に懐かしいロックバンドの名曲が登場してきますが、『夏の雷音』 で見せた音楽分野の造詣と神田神保町界隈の街並みを背景として生かされた一冊でした。
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