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今年の読書(28)『ふたりぐらし』桜木柴乃(新潮文庫)

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今年の読書(28)『ふたりぐら...
好きな作家の一人として著者<桜木柴乃>の作品は、『ワン・モア』 ・ 「風葬」 ・ 『星々たち』 ・ 『砂上』 や 『霧(ウラル)』などの舞台は北海道、特に生まれ育った釧路市近辺が多く、現在は江別市在住の作家です。「新官能派」のキャッチコピーでデビューした性愛文学の代表的作家ですが、人間の本能的な行為としての悲哀という描き方であり、過激さは低く、2020年11月13日には、父親が経営していたラブホテルを舞台とした人間模様を描いた『ホテルローヤル』を原作とする映画『ホテルローヤル』(監督:武正晴)が公開されています。

本書『ふたりぐらし』は、2018年7月新潮社より単行本が刊行され、2021年3月1日に文庫本として発行されている、全10篇の連作短篇集です。

元映写技師の夫「信好」は、看護師の妻「紗弓」と二人暮らし。四十歳になる今も諦めきれない映画脚本家の夢を追い続け、定職はなく、五歳年下の妻の稼ぎで生活しています。多忙な妻に託された家事の一つ、買い出しでは身の丈を気にしながら食材の値段を確かめる。晩酌は身の丈にあった発泡酒。甲斐性のない後ろめたさもあり、痴呆の入り始めた古稀の母親に病院への道すがら鰻丼を奢られたことさえ、妻には秘密にしてしまいます。

一方の「紗弓」は、夫とその夢を大切に思いながらも、この将来の見えない生活で子供を望むこと、義母との埋まらぬ距離、「信好」との結婚にも反対だった実母との長年の確執など、家族の在り方に悩む日々でした。

幸せになるために生涯を誓ったはずなのに、結婚生活とは、夫婦の絆とは、親子とは、一体何なのだろうと考えさせられる日常の生活を、夫と妻の交互の視点で綴られ、映画ファンとしては文中に登場する作品や台詞が懐かしく楽しめました。
#ブログ #単行本 #読書

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