今年の読書(3)『韓国カルチャー』伊東順子(集英社新書)
Jan
20
本書では、近年話題となった映画、ドラマ、小説などを通じて韓国のリアルな姿を論じています。韓国人にとっての「パワーワード」である「ヒョン(兄)」の意味、一般富裕層とは違う財閥の役割、挨拶代わりの「ごはんを食べましたか?」という問いかけなど、さまざまな文化を掘り下げています。
登場する作品は、映画化もされた小説『82年生まれ、キム・ジヨン』や、映画『南部軍~愛と幻想のパルチザン~』・『ミナリ』・『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』・『パラサイト 半地下の家族』、ドラマ『サイコだけど大丈夫』・『愛の不時着』・『梨泰院クラス』・『Mine』・『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』・『賢い医師生活』、小説『もう死んでいる十二人の女たちと』・『こびとが打ち上げた小さなボール』・『野蛮なアリスさん』などが取り上げられています。
「キム・ジヨンはなぜ秋夕の日に憑依したか?」・「性的マイノリティと梨泰院」・「『ミナリ』は『パラサイト』とは真逆の映画かもしれない」といったテーマを、解説しています。
思想家の<内田樹>は「映画やドラマを見て、そこそこ隣国のことをわかった気持ちになっていたけれど、この本は韓国のほんとうにわかりにくいところ、『字幕にできない』ことをていねいに教えてくれる」と帯に推薦分を寄せています。