『逆転のトライアングル』@<リューベン・オストルンド>監督
Dec
15
『フレンチアルプスで起きたこと』(2014年)で「第67回カンヌ国際映画祭」ある視点部門審査員賞、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』(2017年)で「第70回カンヌ国際映画祭」最高賞であるパルムドールを受賞し、本作でカンヌ史上3人目の2作品連続パルムドール受賞という圧倒的快挙を果たした<リューベン・オストルンド>が監督を務めています。
驚くべき人間観察眼とセンス抜群のブラックユーモアで、毎度観客を絶妙に気まずい気分にさせてくれる<リューベン・オストルンド>が選んだ次なる標的は、ファッション業界とルッキズム、そして現代階級社会で、問題を痛烈に炙り出しています。
主演は、『キングスマン:ファースト・エージェント』(2021年)の<ハリス・ディキンソン>と、残念ながら本作が遺作となってしまったモデル出身の<チャールビ・ディーン>(1990年2月5日~2022年8月29日)です。フィリピンのベテラン<ドリー・デ・レオン>や<ウディ・ハレルソン>が共演し、弱肉強食のサバイバルが繰り広げられます。
物語は、モデルで人気インフルエンサーの「ヤヤ」と、若干落ち目の男性モデル「カール」の美男美女カップルが、豪華客船クルーズの旅に出かけることから始まります。リッチでクセモノだらけの乗客がバケーションを満喫し、高額チップのためならどんな望みでも叶える客室乗務員が笑顔を振りまくゴージャスな世界が舞台ですが、ある夜、船が難破。そのまま海賊に襲われ、彼らは無人島に流れ着きます。食べ物も水もSNSもない極限状態で、ヒエラルキーの頂点に君臨したのは、サバイバル能力抜群な、船のトイレの清掃婦でした。