進水式で、数十年モノの古酒を掛ける忠さん。現代風にアレンジされたものではなく、本当に手漕ぎの時代のサバニである。 全てが軽やかで、荒々しさがない。 乗り手はサバニと戦わない。ニヌハ3の本当の性能を知る領域まで達するためには、まだまだ学ぶ技が山積しているが、ニヌハ3が何者かは見えてきた。 これほどサバニを学んできたというのに、今まで経験してきたサバニとは、全く別のジャンルのものがここにある。 僕はすばらしいサバニ大工の作品に出会い、確かに驚いている。 しかし、その驚きは、自分の選択したテーマの奥深さを見せ付けられたような気分だ。 まだまだ、多くのドラマがこの先にあるに違いない。かつて、アフリカのキリマンジャロに登り、それが世界の7thミッションのひとつであることから、僕はとんでもない勘違いをしてしまった。 「地球が狭いぜ」「世界が俺の庭さ」と。 この思いは、1年後にヒマラヤを経験して叩き潰されることになる。 どんなに登っても、周囲には自分の位置より高い山がごろごろしている。 キリマンジャロクラスの山は、無数にあったのだ。今の感覚は、その時のものに似ているが、無数にあるものの一つではなく、何か絶対に信頼できる唯一のものを見たような気がしている。 歴史に閉ざされた道を探り、運命的に選択したこの道こそが、王道のような気がしている。 錯覚だってかまわない。 僕は、この道をさらに進もうと思う。 これまで作りたかった、昔の形のサバニを作り、日に日に健康を取り戻してきたおじいの目にも涙が浮かんでいた。
Posted at 2007-08-06 19:38
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Posted at 2007-08-08 06:41
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Posted at 2007-08-06 21:57
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Posted at 2007-08-08 07:04
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Posted at 2007-08-09 04:41
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