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つれづれなるままに

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心が湯たんぽで温められたとき

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ハーレム地区 125丁目とレキ... ハーレム地区
125丁目とレキシントン通り
マンハッタンでの移動は主に地下鉄を利用します。

黒人街とも言われているハーレムへ行く途中のことでした。

改札口で直前の人が乗車カードを機械に何度もスライドさせているのですが
いっこうにゲイトは開かないのです。

「料金が不足しているんじゃないの?」

背後で心配している私。

駅から出て来る人の波が収まるのを待って並んだ後だっただけに
多少ともイライラしてしまったのは確かです。

「何をグズグズしているの、おばさん」ってな気持ちで ^ - ^

そのおばさんは5-6回ほどもスライドを繰り返すと、
突然ゲイトがグリーンに変わり
ホームへ入って行きました。


続いて私の番。

カードをスライドさせてもビッー
という警音のみで開きません。



焦る私。

何度も繰り返しました。

繰り返せば、先ほどのおばさんのように開くだろうとおもって。

後続の人達は私の改札マシンを避けて
隣から次々にスキャンを終えてホームへながれていきます。

ホームから隣の改札を抜け出てきたある人が
私のもがきに気づくと
胸ポケットに手を伸ばしながら
小さな言葉を発したよいに聞こえました。

彼は自分の乗車カードを取り出すと
私が格闘している機械にスライドさせたのです。


「えっ??」

瞬間、私は何が起こったのか分からなくなりました。

数秒後、我に帰った私はとっさに言葉を発していました。

Sure?、、、、Thank you、、、、、

すでに立ち去っている
彼の声が、遠くから聞こえました。

Oh,yea. No problem.




たった今、私は数秒間を失ったと思って不機嫌に陥ろうとしていたのに、

彼は身も知らない私のために
彼の貴重な数秒間を使ってくれた、、、

しかも私の乗車料金まで支払ってくれた、、、

彼の善意を受け取るに相応しい人間かどうかも分からないままに、、、、

私は自分のことが恥ずかしくなりました。

同時に
心が湯たんぽで包まれたような
暖かさが込み上げて来ました。

私たちの資本主義社会は、
自由競争を原理としています。

そこでは「効率」が成功の物差しとして大きな要因となっています。

どれだけ大きな成果を収めるか〜コストを抑えて利益を上げるか?

どれだけ早く目的地に辿り着けるか〜時間と資産は最大利益を産むものに投資する。

しかし、
この資本主義至上の価値観だけでは
大切なのを失ってしまうような気がします。

その価値を追求しても
あの湯たんぽの暖かさは
湧き上がってないでしょう。

例の人は浅黒い皮膚をした小肥りの50代くらいの男性でした。

最後に聖書の一節の引用です。


 27 あなたの手に善を行う力があるとき、 求める者に、それを拒むな。
28 あなたに財産があるとき、あなたの隣人に向かい、 「去って、また来なさい。 あす、あげよう」と言うな。 (箴言 3:27-28)



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