広島原爆投下68周年
Aug
7
今年の広島原爆平和式典に合わせて、
原爆ドーム前には中沢啓治氏(1939~2012)が
自身の原爆被爆体験を元にした自伝的アニメ『はだしのゲン』
が大きくライトで照らし出されました。
米国時間の68年前のこの日、
1945年8月6日午前8時15分に、
米国B29爆撃機「エノラ・ゲイ」が、
世界初の原子爆弾「リトルボーイ」を投下して
広島市は壊滅、10万人以上の死者を出しました。
中沢氏は当初、
被爆体験者に対する社会的差別のために、
原爆のことを思い出すのさえ苦痛で
語ることすらできなかったといいます。
でも昭和41年に母親が亡くなり、
火葬をして荼毘にふした時、
その母の骨が放射能でスカスカになっていて原形を残さず、
粉しか残らなかった事実に直面します。
その衝撃に今後は逃げないで、
マンガの世界で原爆をありのままに描いて、
後世に伝えるのが
生き延びた自分の使命であると決意したそうです。
こうして昭和48年に、
少年ジャンプで『はだしのゲン』の連載が始まりました。
しかし、原爆投下直後の描写があまりにリアルなため、
読者へのインパクトが大変強く、子供にとっては気持ち悪く、
刺激が強すぎるというような意見も多くありったようです。
ある日、中沢氏に「子供が怖がるのでやめてほしい」
と親御さんから手紙が届きました。
中沢氏は、
「あの光景を怖いと思うなら、そのお子さんは正常です」
と返事をしたそうです。
中沢氏は、
「戦争や原爆を甘い糖衣で包んで子供に見せれば、
甘く考えなめてしまうので、だからこそ、忠実に、
リアルに再現することを貫き通した」と語っています。
中沢氏の体験を知っただけで、
戦争ほど惨たらしく、
愚かな人間の行為はないと私は改めて確信を強くしました。
そこには決して勝者もヒーローもなく、
胸が張り裂けるほどの悲しみ、怒り、むなしさ、
そして痛みと貧困が残されるのみです。
戦争の悲惨さと、
広島と長崎に投下された原爆爆弾の事実を忘れることなく、
それを後世にも伝えていかなければならないと強く思います。
そのためにも、『はだしのゲン』はぜひ一度は
地上のすべての人たちに読んで頂きたいマンガですし、
後世に残して行くべきものであると感じました。
現在、20ヶ国語に翻訳され、出版されているそうです。
近く英語版と日本語版を取り寄せるつもりです。
家族みなで読んで、
決して「戦争終了のための必要選択」
という米国の主要論調に欺かれることなく、
正しい人間理解、
歴史認識を持つものでありたいと願っています。