ベイデン教会のホームレス・ミニストリー
Nov
9
ジョシュアの自宅で一泊して翌朝、
デビィが迎えに来て下さった。
富三先生ご夫妻と共にベイデン教会へ。
そこでホームレス・ミニストリーのためのサンドイッチ40食分を作るためである。
故ダン牧師が始められたこのミニストリーは、
新しく就任されたデイル牧師とそのご子息のリックがリーダーとなり、
しっかりと継承されている。
ダウンタウンのあちこちを車で巡りながらホームレスを探し出しては声を掛け、
どんな必要があるかを伺い、食糧をお渡しする。
空き地にテントを張って10人以上の集団生活をしている例もあったが、
現在では多くのホームレスが街から姿を消しているという。
そのため一人で行動しておられる方々がほとんどで、なかなか見つからない。
市当局が風紀や衛生上の理由から、彼らを追い立てているとのこと。
その後、デビィの家で昼食をご馳走になりながら、
ベイデン教会の近況をお伺いする。
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そもそも「ベイデン」とは、
名前から推し量れるようにドイツ系移民の街として発展した。
街が創設された中心部にベイデン教会は位置していて、
時代の進展と共に新興住宅地やビジネスエリアが周囲の郊外へと広がって行く。
古い街は自然、放棄されていく趨勢の中で、
不動産価格の下落と共に黒人が住み着くようになっていった。
教会の近所には35程のキリスト教会が存在しているが、
黒人と白人とがともに会衆として混在しているところはここのベイデン教会のみであるという。
隣のブロックには、ーそこはデビィの次男のカレブの自宅に隣接しているところであるがー 真新しい近代的な外装のメガチャーチが建っている。
その名も、COGIC(チャーチオブゴッド イン クライスト) (^-^)
こんなに大きな教会が近所にたくさんあっても、
教会の壁を超えて外側の住民にミニストリーを展開しているところは、
2ー3ほどの教会しかないとのこと。
カレブと、これまたデビィ家族の一人であるカーネルという黒人男性とは、
ホームレスミニストリーを他の教会と共同してチームを組めないか、
ベイデン教会のお迎えにある黒人教会と現在話し合いが進んでいるそうだ。
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デビィについてであるが、彼女は教会の多目的ホールを利用して
1歳から未就学児を対象としたデイケアを毎日開いている。
車を所有出来ないご家庭のためにバンで各家庭を回って子供たちをピックアップする仕事で彼女の一日が始まるが、それがなんと朝の6時!
デイケアが終わるのが夕刻の6時であるという。
植物人間のようになられた半身不随の90歳を超える実母が家庭にいながらどうやって? と思ったが、
彼女の家に一歩足を踏み入れれば謎は氷解する。
私たちがお邪魔した時で、10人ほどの "ご家族" に囲まれておられた。
ドラック中毒者やホームレスとなった売春婦の方々にも家庭を解放されて、
多い時ではかつて16人が共に生活をされていたという。
彼女からデイケアの責任を今年から任されたのは、
サラという活発な女性であるが、
彼女がまだ小学生の時、その親の事情から
隣に住む故ダンとデビィの養子として引き取られたという。
サラの下にいる二人の妹たちは叔母に引き取られたとのことであるが、
その二人とも現在ではベイデン教会を支えるデビィ家族の一員として活躍されている。
その妹たちのお一人と私はしばらく会話を交わした後、
デビィがそんな彼女達の身の上話をしてくれたのだが、
彼女はしばらくの間、ドラック中毒で売春婦として生計を立てていたという。
さらに驚いたのは、
デビィがそのようなきわどい話を他の人々が私の周りにいるのにかかわらず、
天候の話でもするようにサラリと言ってのけたことである。
ベイデン教会の方々、そのミニストリーを担うスタッフの方々にとって彼女の経歴は決して珍しいものでなく、むしろスタンダードであることが次第に分かっていった。
ダンもデビィも10代の頃からドラック中毒のヒッピーであり、
そこから主イエスに出会い、救いを得た。
福音書を読めば、遊女やローマのための収税人といった社会のはみだし者たちの友人となられて、食事を共にされたイエスの姿が出て来る。
それを軽蔑しながら遠巻きに眺めていたのがパリサイ派らの宗教家であった。
私は知らず識らずのうちに、
21世紀のパリサイ派を演じていたのではないか、、、、?
今回のベイデン教会訪問は私に大きな衝撃を与え、
パラダイムシフトさせる程のインパクトとなったのであるが、
この問いかけは、その要因の一つに数えられると思う。