午後からサーフィンボードをレンタルし、 二人の子らを沖合い、数十メートルほどの所で波に乗らせようと挑戦。 私はすぐ側に陣取り、成り行きを見守る。 波はやってくるが、彼らのボードの下を難なく素通りして行ってしまう。 しばらくすると、我が子よりも二まわりほども小さな女子が颯爽と波に乗っているのを発見。 その子の父親と思しき者が細かい指示を与えている。 日焼けした上体の肌にはメキシコ・マヤ文明の建造物やデザインのタトゥーが広がっている。 彼のところへ近づき、その指導法を盗み取ろうと聞き耳をたてる。 気さくな地元ハワイアンで、願うまでもなく色々とヒントを教えてくれる。 彼はサーフィンのインストラクターをすでに20年以上もしていると言う。 その女子は8歳ながら4歳時からサーフィンをしていると言うのだから 上手いわけである。 彼からの指導法を我が子らに適応してみた。 先ず、波を待つ場所の変更。 さらに、サーフボードでの体の位置。後方に重心を据えて、先端を浮かさねばならない。 後方に迫る波が10メートルにも近づいたらパドルを始め、 出来るだけ早くボードを前進させねばならない。 この点だけでも私には大きな誤解があった。 波がボードに到達する寸前にパドルを始めても、後の祭りであったんだ。 これだけのヒントでも子供らはかなり上達を見せ、 何度かは波に最後まで乗って砂浜にまで到着出来た。 「こんなもの、このDadにだって簡単に出来る!」 そう宣言して長男からボードを取り上げて、私もサーフィン初挑戦。 ボードに乗った瞬間、バランスを崩して海中へドボン。 そこで、慌てて足で立とうとしたのが大きな間違いであった。 その辺りはリーフが広がり、海底は岩礁で覆われている。 足の数カ所に切り傷を作ってしまい、出血もしている。 出鼻をくじかれ、すっかり戦闘意欲を失った私は全面降服して 長男にボードを返した。 「海に落ちた時は、足を底につけたらダメなんだ。 体を横たえたまま浮かび、そのままボードに乗るんだよ」と長男のご指導があった。 いやはや、インストラクターを気取っていい気になろうとしていたのだが、 海の現実とは厳しいものである。