深川製磁の彩磁真鯉文花瓶である。黒(茶も含む)を使って真鯉が釉下彩(釉薬の下に描くこと)で描かれている。時代は、おそらく、明治後期から大正、あるいは昭和初期に入っているかもしれない。要するに20世紀に入ってからのものである。もちろん、この鯉の絵柄の元は日本の浮世絵などの絵画からきている。しかし、この深川製磁の鯉は、おそらく、ロイヤルコペンハーゲンの花瓶あるいはプレートに釉下彩で描かれた真鯉あるいは魚に影響されて制作されたものとの私は考えている。時代的に見ても、ロイヤルコペンハーゲンの方が早い。
ロイヤルコペンハーゲンの釉下彩にジャポニズムを取り入れたのは、アーノルドクローである。彼は、1880年代後期に浮世絵や日本の絵画をフランスのビング商会から購入し、いち早く釉下彩磁器の絵柄に取り入れたのである。実際、広重の「絵本手引草」などに描かれている魚をそのまま花瓶に描いている。この「絵本手引草」もクローはビングから購入している。
いろいろ批判はあるかもしれないが、私は深川製磁はロイヤルコペンハーゲンの作品をどこかで見て、この釉下彩の真鯉あるいは魚シリーズを制作をしたと考えている。
これ以外の写真も私の HP 彩磁真鯉文花瓶 に掲載しているので参考にしていただきたい。
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