今度の三陸沖を中心とした大地震は自然の驚異をまざまざと見せつけた。地震に耐えた家屋も津波にはあっけなく流され、鉄骨やコンクリート造りの建物も甚大な被害を受けた。いつものことではあるが、自然の猛威の前では人の力が及ばないことをつくづく思い知らされる。被災された方たちに深く同情すると共に、亡くなられた方々の冥福を祈るばかりである。
アメリカで見るテレビニュースでは津波に襲われ瓦礫の山と化した町や、避難所での不便な生活を伝えているが、救援物資を届けるために大勢の人たちが努力しているので、避難している人たちは希望を持ってもう少しだけがんばって欲しい。輸送ルートが復旧し、通信が回復すれば日本中の人たちが被災者を支援することを確信している。
福島第一原子力発電所の事故については、原子炉およびその周辺建屋がこのような甚大な地震に耐えたことは評価すべきだが、報道によれば海に隣接して設置されていた非常用電源設備が津波の被害で消失し、原子炉冷却および燃料棒貯蔵設備のための給水が不可能になって、現在、きわめて憂慮すべき状態になっているようだ。
元石油化学プラント設計の技術者として最初に思ったのは、なぜ非常用電源設備がもっとも津波の被害を受けやすい場所に設置されたのか?という疑問だ。バックアップ設備は一朝ことある時に稼動するものであり、あらゆる天変地異においてもっとも安全な場所に設置すべきものである。原子炉建屋よりも内陸側に設置されていれば今回の事故は防止出来たのではないだろうか。
また今日のニュースで東電が給水ポンプを復旧するために今日から発電所電源の回復を図る、と発表していたが、ヘリコプターで水をまくことを考えるより電源の回復の方がはるかに優先順位が高く、もっと早く計画されるべきではないだろうか。
現場の状況がわかっていないのにあえてコメントすれば、まもなく開始される予定の警視庁の機動隊による燃料棒貯蔵プールへの放水よりも、このプールへの通常の給水ラインに接続して給水した方が確実に思える。放射能レベルの高さによりこの給水ラインへの接続が困難、あるいは給水ラインのバルブが閉じていて給水不能な状態なのであろうか。
今回の原子力発電所事故により、世界中の多くの人々が原子力発電に否定的になることを憂える。確かに福島第一原子力発電所では甚大な事故となったが、隣接の東北電力女川原子力発電所は設計通りに停止している。十分な安全設計がなされた原子力発電所は今回のような大震災でも耐えられることを強調すべきである。環境に悪影響のある化石燃料消費を削減するためにも原子力発電、さらにはもんじゅのような増殖炉による発電は重要である。今回の事故を政治問題とせず、原子力発電が純粋に技術的に議論されることを望んでいる。
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Posted at 2011-03-16 15:14
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Posted at 2011-03-17 00:58
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Posted at 2011-03-17 01:04
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Posted at 2011-03-17 01:15
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Posted at 2011-03-19 20:16
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Posted at 2011-03-20 06:42
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