おたすけおじさんの Q&Aコーナーのつづきとルー・タバキンさんの練習方法の話
やっぱり一流プロの練習は凄いです。
おたすけおじさんの Q&Aコーナーのつづきとルー・タバキンさんの練習方法の話 です。
こんにちは サックス奏者の皆様
さて、昨日は、 ハイバッフルマウスピースに変えてもあまり変わらない と ルー・タバキンさんのクリニック・リードの話 という内容でしたね。
昨日のQ&Aで、試して頂いたのですが、もう少し回答をしたいのと、新たな問題が発見されたようです。
では、Q&Aコーナーの始まりです。
今日も、Yahoo掲示板に投稿した内容で、すでにバンド活動をしている、OJO's BANDバンドのリーダーさんからの質問です。
Q10 : ハイバッフルマウスピースで中域の音が割れるというか微妙に濁っちゃうんですが? のつづき
こんにちは。 昨日教えていただいたことを参考に1時間ほど吹いてみました。
リードを替えることでほとんどの部分では解決なのですが、まだ微妙に割れることがあります。 でも、疲れているときや高音部の多い曲で中音に戻ってきたときなどに起りやすいので、アンブシュアが崩れているんでしょう。 やはり、練習、練習ですね…
A : では、練習の前に次のことを読んでからやってみましょう。
ハイバッフルのマウスピースは、コントロールと音色を均一にするのがとても難しいマウスピースです。 良い音とうるさい音が極端に出るという意味では、ちゃんと吹けてるかの確認が出来て良いですが、ただ圧力の限り吹くとうるさい音しか出ないですからね。 ハイバッフルマウスピースに限らず、マウスピースに悩んだときに試す方法と注意点です。
1.ハイバッフルマウスピースの場合は、少し上から吹き下げるようにした方が良い結果を得られやすい。
これは人それぞれですので、いろいろ試してみてください。
2.圧力はしっかりかけるが、口内を狭めて、チュウブから絞り出すように息をマウスピースに入れる。
圧力をしっかりかける。 これは全音域です。
吹きやすい低音だからと圧力を抜くと音が散らばります。
フフラジオを含めた高域も圧力を抜いてはいけません。
だからといって、目一杯息を入れずに、楽器の鳴りと対話しながら息の量を加減するんです。
ダイナミックレンジは、息の量でコントロールしてください。
練習の時は、pp〜fffまでのダイナミックレンジを、同じ鳴りで吹けるようにしてください。
アンブシャもこのように練習していると、自分の音色に合った、マウスピースが鳴らせるアンブシャになってくると思います。
はっきり言いますと、中域のD〜Fが鳴りづらいのは、まだ使い始めたマウスピースに慣れていないからですので、きちんとした練習を継続すれば、その問題は解決すると思います。
3.マウスピースをくわえる深さ、下唇を当てる面積を変えてみる。
くわえ方を、浅くすると音が緻密になり、深くすると音が広がるオープンな音になります。
リードに対する下唇の面積を、少なくすると明るい倍音の多い音に、広くするとブライトな倍音の少ない音になります。
この下唇の面積を増やすやり方でサブトーンは出すんですね。
4.E〜F#だけを吹いてみる
リードを変えたり、疲れていないときは現象が出ないようですが、じっくりと現象が出るE〜F#だけ吹いてみましょう。
どうですか? 楽にちゃんと思った音が出ますか?
出るようなら、原因はお分かりのようにアンブシュアが崩れています。
高い音で締め気味にして、吹き上げたり下げたりして吹いていないか、リードの振動を妨げていないか、チェックしてみてください。
どちらかというと、高音はチョットだけ吹き下げ気味にしてあげて、中音はストレートに息を入れた方が良い結果が出ると思いますよ。
高音が多い曲とか疲れているときに現象が出るのは、プレーヤーとして困った問題ですね。
まだ試して時間が経ってないですから、いろいろと試してください。
楽器はなるべく楽に吹いて、音楽に専念したいものです。
あとは、他のプレーヤーに吹いてもらって、同じ現象が出るか確認してください。
誰が吹いても同じ現象が出たり、1ヶ月たってもダメなときに、次に行きましょう。
5.マウスピースを見てもらう
質問者のブログを見ましたが、カスタムマウスピースを島田さんに作ってもらったんですね。 (島田さんというのは東京新宿にある、サックス工房ヤナギサワクロッシュの、マウスピースを製作したり、修理するプロフェッショナルで、プロからもその腕を買われている有名な方です。 私のマウスピースも島田さんにリフェースしてもらいました。)
現象を島田さんに話して相談してみてください。
マウスピースにもクセがありますから、無理なアンブシュアで吹くよりも、相談した方が早く解決するかもしれません。
Q11 : ハイバッフルマウスピースを使うと、中音域がポワンとした丸っこい音になるのですが?
で、また質問なのですが、特に真ん中のE〜F#で傾向が強いのですが、音色的にポワンとした感じというか、トランペットのミュートっぽい音というか… 丸っこい音になってしまいます。 リードを替えるとたまになくなることもあるのですが、原因はそれだけではない気がします。 ちょっと伝わりにくいかもしれませんが、もし何かヒントがあれば教えてくださいませ!
音がポワンとした感じになるのは、市販品を使っていたころも、もっと前にデュコフを使ったいたころも、ランバーソン6DDでも、セルマーのS180でも、程度の違いこそあれ、共通の現象でした。 習っていたころにも先生に聞いてみたのですが「いい音出てると思いますよ」で終わってしまったのです。 体格の問題とかもあるのかなぁ…と思ったりするのですが、根拠もなく… 息を入れるポイントなのかなぁ…と思ったりするのですが、意識して変えてみても解決にはならず… といった感じなのです。
A : Q10と同じやり方をアドバイス致しましたが、解決しなかったので次の方法をお話いたしました。
このメールを読むと、どのマウスピースでも同じようですね。
中音のD(レ)、E(ミ)はサックスの場合、音が抜けづらい音ですが、楽器の性格も関係してきます。
どのくらい楽器自体が鳴っているのか、吹いていないので分かりませんが、中音域だけ抜けていないのかもしれません。
1.まづは、楽器が正しい状態になっているか専門の修理屋さんで見てもらう
2.正しく調整されているなら、楽器が抜けていないということになります。
これの対処法は、少し時間がかかります。
鳴りづらい音を中心に、楽器を毎日響かせるようにすることです。
それも、なるべく倍音の多い音でやると効果が出ます。
つまり、中音F(ファ)以上なら最低音Bbからのオーバートーンで
倍音の多い音を出して響かせます。
デュコフなど、バリバリ出しやすいマウスピースで集中的に抜けていない音を鳴らす。 *これはあくまでも、音を抜くためですので、無理してアンブシュアを壊さないようにしてくださいね。
意識してやると楽器がだんだん抜けてきます。
(抜けていないというのは、同じモデルのいろいろな人が吹いたサックスが100本あったとしたら、100本とも全て音色や吹奏感が違うんですね。 抜けている楽器は、吹いたときに、よく響いてくれて(鳴ってくれて)、入れた息の分だけ、よい音質で音がスーっと気持ちよく響いて出る状態を、【抜けている】 と言います。 ん〜ちょっと違うかな? 吹いた感覚になるのでよく分からないと思いますが・・・
サックスは、吹き込むことにより、楽器が鳴りやすく変わってきて、全音域で音を出やすくすることができるんです。
楽器は、いつも同じではなくて人間と同じように、生まれてから、成長して、老人になって、寿命を迎えるんですね。 サックスは真鍮などの金属でできているので、その分子構造が振動を与えることにより、より振動しやすく変化していくと言われています。 そして鳴らしすぎた楽器は、枯れたような音になって寿命となります。 私もこの枯れた楽器を吹いたことがありますが、音が簡単に出てしまいますが、倍音の少ない、豊かな音が出なくて、ダイナミックレンジの狭い楽器でした。 楽器の鳴り方は変わっていくものなんですよ。)
> マーク7を使う前は、SA80IIを7年ほど使っていました。 そのときも同じ現象はあったので、結局、ちゃんと抜けていないということですね。
以前からそうなら、中域に変なイメージが無意識にあるのかもしれません。
イメージトレーニングを好きなアルトのCDでも聞きながらやってみてください。
きょうのQ&Aは以上です。
● ルー・タバキンさんのクリニック 今日は、練習方法についてです。
ルー・タバキンさん、って誰? っていう方は、9月11日のブログに書いてありますので、見てくださいね。
1.オーバートンシリーズを一通りやります
2.ある決まったインターバル (詳細不明)
3.呼吸法
4.スケール
5.曲とコードチェンジ
どのようなメロディが、どのようなコード・ハーモニーに適合しているか、とにかく時間がかかります。
ハーモニーの独自の解決法を研究しました。
1オクターブは12の音しかないので、その組み合わせを、トニック−ドミナントの関係を、何万・何億通りもあるものを実験しました。
練習というのは、演奏に向けての準備であり、ちょうど宮本武蔵の哲学に習うところが多かった。
宮本武蔵は、できるだけの準備をして、果たし合いに望むが、果たし合いのときは、無になるように心がける。
演奏の場合は、ハーモニーやテクニックをたくさん勉強しますが、演奏の時は全て忘れて、真っ白になる・フリーになる そのために普段練習をしっかりやります。
練習も大切だが、実際に演奏することも、とても大切なことです。
これが、タバキンさんの練習方法です。
= 思うこと =
一流のプロでも、基礎練習と表現力を上げるためのテクニック練習は欠かせないようです。
現代最高のフュージョン・アルトサックスプレイヤー、デヴィッド・サンボーンは、来日したとき石森管楽器に必ず顔を出します。 そして、本番までの空き時間は、石森管楽器の地下で延々と来日するたびに練習していたそうです。 (石森管楽器が移転する前の話なので、最近はどこで練習しているかは聞いていません)
“聖者”コルトレーンと呼ばれる、ジャズテナーサックスに偉大な痕跡を残したジョンコルトレーンも、日々信じられぬほどの膨大な時間を練習にあて、その音楽に対する求道的な姿勢が、『ジャズを通して“神”に近づいた男』 と、ミュージシャン仲間から言われていた由縁です。 (コルトレーンの音楽を聴きたい方は、癒し系で”バラード”、”ジョニーハートマンとジョンコルトレーン”、テクニックを聞きたい方は、”ジャイアントステップ”が聞きやすいと思います。)
ソニーロリンズも、音楽シーンから行方をくらませたとき、仕事中にエレベーターの中で練習していてクビになったと言われています。
オーネット・コールマンも最初のレコードを出すまえに、ロサンジェルスにある百貨店倉庫部のエレベーター係をやっていて、そのエレべ−ターが用なしで止っているときは、なかで音楽の理論書を読んでいたという話もあります。
このように、見えないところでたくさん練習し、追求しているから素晴らしい音楽ができるのですね。 まだまだ修行が足りません・・・
おたすけおじさんの ハイバッフルマウスピースで中域の音が割れるというか微妙に濁っちゃうんですが? と ルー・タバキンさんのクリニック今日は練習方法 のお話でした。
明日は、また、基本に戻って 息の出し方とルー・タバキンさんの演奏 のお話です。
ご注意 : ここでお話しすることは、私のジャズサックス人生での経験上のことですので、全てが正しいとは限りません。
いろいろなやり方・奏法・考え方がありますので、参考程度に読んでください。
とは言っても、経験上で間違ったことを書くつもりはありませんのでご安心を
皆様からのご意見も取り入れて、私も勉強していきたいと思いますので、温かく見守っていただければ幸いです。
* サックスを習っている方は、講師・先生の教えを優先してくださいね。
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