学童保育でアルバイトをしていた時 勉強、運動ができる一年生の男の子が 学童への道のり仲間の僻みに袋叩きを受けた 悔し涙で膝を抱えた 次の日、ガキ大将を待ち伏せ 叩き返し泥だらけで学童へ帰って来た 拳は勇気と正義で握られていた
抜け殻に成りかけている 仰臥した空洞な身体の主幹に響いた 消えてしまう微弱な電気は 最悪を感じずに受け入れても良い、と 此処までか、此処までか 燃焼は何処まで行われたか 悔やみを朦朧に任せ流している 未だ枯渇していない精魂が彷徨う 不完全を納得するまで到達せず 痺れた感触の此の世に半分ある手を 床に突っ張り重力と痛みに 何処までか、何処までか、と
やばばばいの ばいのばい このままじゃすぐに 終わっちまうよ えっ なにが終わるって? そりゃ 人生しかないだろ 髪をかきあげたら 禿げてくるし 歩き出したら 腰が曲がり 家に着く頃には 地面にあごがつきそうだよ それに コケたら立ち上がれない とにかく時間が なくなってやばい じいさんも 世のため人のために やってきたんだろ 十分じゃないか そんなことはない わしは何も成していない まだ ぴよぴよぴよぴよの ひよこちゃんなんだよ 笑えるじいさんだな それで死ぬまでに いったい何がしたいんだい? わからんから困る なんせ頭の中は年をとらず 身体がすぐに老ける じいさん それって意外と幸せって やつかもしれないぜ 楽しい時間はあっという間に 過ぎて行くって言うし わしは浦島太郎でないが なんか足りていない 人生のような気がして…… おーい 帰るのかいじいさん わりとしっかり歩けているぜ ああ もう聞こえてないようだな まだなんか言っている やばばばいの ばいのばい このままじゃすぐに 終わっちまうよ やばばばいの ばいのばい やばばばばい……
誰が比べているんだ 君には届かない月 泥を被った僕はすっぽん 生まれた時から やる気を失っているのは 誰かが比べているからなのか それとも捻くれ者なのか そんな僕でも 美しい心が欲しいと思っている 僕の中にもある 比べる心を消しながら這って
どうしたの いつもの君とは違うね ふーん 金魚になったんだ 一点を見つめて ゆったりと泳いでいる その姿も悪くはないけど 突然のことで僕は開いた口が 塞がらないよ えっ 僕も一点を見つめているって あれっ 腰がくねくねしてきた あれれあれれ 金魚になったのか なっちまったようだ 人間さよならってことなのか こんな日が来るとは…… しかし狭い世界だね そして僕らは 水槽から出られないのか…… ああ この運命を受け入れよう 君と一緒だから大丈夫だよね おいおい 向こうから黒マントの金魚が来るぞ でかい目をして大きな図体 ありゃ間違いなくボスだ 怖いから知らんぷりをしよう 誰かが僕らを覗いている とんとんと ガラスを叩いているけど なんだろうねあれっ こっちはストレスが溜まるんだよ やめてほしいなあ おお その少女も一点を見つめているぞ ああ 口も開いた もうじきこっちへ来そうだな ようこそ金魚の街へ 仲良くやって行きましょう そんなに悲しい目をしないで お話をしましょう そうそう 黒マントには気をつけた方がいい どうやら奴がボスのようだから ほらほら また人間がこっちを覗いているぞ ようこそ金魚の街へ
へへっ へへっへっ たぶんそれっ ヘっヘっ さたでーもーにんぐ 聴いているよ 雑務を 丸テーブル載せ へへっ いえっいえっ たぶんそれっ いええっ 瞳は 丸テーブルに反射させ 進むよ進むよ さらさらへへっ 締め切りを 丸テーブルに載せ たぶんそれっ いえっいえっいえっ へっへっ じゃすとふぃーりんぐ
おはよう チョコ、どうぞ 昨夜からの コンビニバイトの若い兄ちゃんと 早朝に挨拶を交わす 赤髪の兄ちゃんは二年くらい 二日に一回ほど働いている なかなか出来ないことだ 大学生かバンドをやっているのか いつも明るく元気をもらう レジ袋にチョコがふた粒 ありがとうと揺れて
ずいぶんと若さも なくなった気がする この寒さの中に 放り出されたままなら すぐにでも死に絶えそうだ しがみついて生きている まだ自分の存在に 他者からの存在に ひとりの存在ならば 寒いとも思わないだろう すぐにを望むだろう それでいいんですか そんな言葉などは 吐く息のように消えるだろう まだ温もりを求めている 寒さを感じるほどに 生きている足音が響く 寒い寒い寒い寒い と