おおきな絵本に小さな手 生まれたてのような瞳 窓の隙間からはそよそよと 風が通り少しのびた髪の毛が さらりと揺れている ページがめくられ お花畑を新しい友だちと 散歩に出かけている 目の前には小さな主人公 となりへ座われば 沈むソファで微笑みを見せ またすぐに物語へ
夢を追う時 君はやさしく応援する 現実に追われる時 君は僕の声が聞こえない お互いに疲れている 一生に何度という話ではないが 会話の先は見えている 何も言わずに歯を食いしばって 行くところまで行ったのなら 僕の納得があるのかもしれない 前向きに前向きに 突っ込んで倒れていければ それでいいじゃないか ナルヨウニシカナラナイ ヨワネヲハクヨリ ソコヘイッテオモイッキリ クダケチレバモウソレデイイ
初めて足が動かなくなった それなのにうつむき笑っていた どうしたのですか? ああ、ちょっと足が 大丈夫ですか、といわれ 私が笑っているのだから たいしたことでないと 思ってくれただろう 五分ほどして足を引きずり その場から離れた 近い将来、歩けなくなる日が 来るような気がしている MRI検査での結果が明日にはわかる 脊椎を三度も手術しているのだから この身体の変化には予想がつく しかし、出来ることはしてきたし 自分だけなんてとは思ったりしない やまぬ痛みが教えてくれた 逃げるところはない 戦うところもなく 笑えるときに笑おう、と 初めて足が動かなくなった それなのにどうにかなる、と 私は笑える人間になれていた
おいおい 地図の見方もわからねえのか あんた、地獄へ来るような面じゃねえ ここは地獄の入り口だ さあさあ、その地図を反対にして 天国へ行ってくださいな おいおい だからこっちは地獄だぞ 大丈夫か ああ、仕方ねえ 俺が天国まで案内してやるよ あんた、いい仏さんみたいだからな
繰り返してしまう悪循環を受け入れながら、どうやって微笑んでいこうか。ひとそれぞれの葛藤や悩み、苦しい、痛みがあり、それは自分だけのものではないが、やはり当人にとって最大級の生きていくための試練であり、どうにかユーモアへ変換したいものだ。言うのは簡単だが、超越に近い次元と思えばほど遠く感じ、どちらかと言えば諦めや楽観といった言葉がスタートラインになるのだろう。まずは今、出来ることをすれば、その先にもっと落胆が襲いかかることになっても、悔いはいずれ消えてしまうはず。やはり、自分だけの生きる知恵をつけようとしながら今、出来ることをする。それが微笑みをもたらすことに繋がっているような気がしている。
雨が降っています 身体にはきつく響きますが 心にはとっても やさしく響いてきます このまま、このまま ずっとこのまま 眺めていたいのです そんな気持ちの中にいても 進む準備をしています 電車が視界をさえぎり 目の前には能面をつけたひと 僕もそのひとりとなり 揺られているのでしょう 曇りガラスを手で拭い 広がっています濡れた街並み 今日も始まっています 雨に包まれながら やさしい気持ちになりながら 進んでいきます
キラリン ひらめいて 僕は発明をしよう、と 戦争がなく 差別もない平和な世界を 創りだす機械 いろいろなパーツを使い 組み立てています 絵や音楽に小説、詩 演劇にミュージカル スポーツなどなど 完成はしていません とても難しいからです でも、あきらめません
みんなの魂は青だった 今まで知らないで 僕は自分の色も知らず ひとに寄り添えば 消えてしまう赤だった 澄んだ青は赤を嫌った 負の奇跡は運命か それでも生きたかった 僕は燃えて燃えた やっと青に消えぬ赤に 無邪気を装いつつ 僕は燃えに燃えて今が 無邪気を装いつつ 歯を食いしばり燃えた
詩が空を飛び、雲をかき分け 心地よさを知り 何処までも行ける気がして しかし、詩は詩を傷つけ始め 言葉の羽根に疑問符ばかり付着させ 落ちてしまえば重たく空を見つめるだけ 自由を奪われた詩は 悲しみの涙に流されてしまう 飛ぶことも、立っていることも 許されずに孤独の溝を それでも綴らずにはいられない 苦の羽根になろうとも 詩の魂は言葉を越えようとする そして、裏切るのさ 空白だらけの羽根になろうとも 終わらない命題の元で 詩は匍匐しながらも進んで行く