カリスマ詩人さんへ しょっ中お見舞い申し上げます こっちは蒸し蒸し暑くて しかもあなたのいない日々に 汗と涙まみれで過ごしていますよ そちらはどうですか? 相変わらずハワイのビーチで トロピカルカクテルを飲みながら 詩を書いているのでしょうか 今度、日本に帰ってきた時には また、荒川の土手でふたり 朗読会をしましょう テイメイ詩人より
ちょっと太い針だけど 僕でも役に立つことがあった 高校生の時、学校に献血車が来て 友達とノリで始めた献血 そして、大げさかもしれないけれど 僕でも役に立つことがあって 見返りのない行為に生きている意味を 少しわかったり気がして (ジュースやお菓子はいただきますが……)
部屋には鉛筆も紙もありません だから歌っているわけです カラカラ、コンコン、カンカン と、伴奏が僕だけに響いています 無いはずのあったりする世界で やっと笑えた気がしています 誰にありがとうを伝えよう 誰もいないけれど 誰かにありがとを言ってみたい 今、僕は熱くなっています なんとか、の向こう側に ガラクタが歌っています ひとがいなかったり 僕が迷走したりするならば カンカン、コンコン、カンカン と、聴こえてくるわけです ガラクタが歌っています それが救いだったりします 僕の声に笑えた気がしています
僕は今、公園のブランコに座っている 揺らすつもりはないけど たまにキーキーと鳴っては驚く 希望の反対側で見ているのは 翼をつけて遊んでいた景色 間違った道を歩いて走って ここまで来てしまった 誰にも言えない後悔は続いている それなら、の言葉の続きがない 想像さえ消していった日々 僕が悪いわけではない この気持ちがなくなった途端 もっと苦しい日々をめくる 上手に生きようなんて思わないけど もう少し上手く呼吸をしたい でも僕は希望の反対に座っている 後悔に押し潰されては カラダは無重力を知らない 景色は希望を語らない それでも、の続きは鎖が キーキーと鳴って驚くくらい
はいはい、おっさん むにゃむにゃ愚痴をこぼしながら だらりとぶら下がり 酒臭いのはちょっと勘弁だな 何があったんだかは知らねえけど 飲み過ぎて、腹が出て、臭いのは 俺たちつり革をやっている 身からしたら「情けねえ」って 感じなんだよなあ まあ、いろいろあるとは思うけど おっさんたちは好きで おっさんやっているんだから 随分と恵まれた人生じゃねえか 俺たちつり革の気持ちを 考えたことはあるかい あるわけねえよなあ すべて人間のためだけに存在している 俺たちの気持ちってわかんねえ、だろうなあ まあ、そこはどうでもいいけど もう少しカッコよく生きて欲しいのさ いちおう俺たちも生まれ変わったら 人間になりたいなんて思っているんだからさあ ほらほら、シャキっとしろよ ああ、俺にその脂っこい頭をつけるなって ベタベタで気持ち悪いじゃねえか おっと、ほぼ寝ている感じだなあ しっかりつかまっていないと 膝カックンでぶっ倒れるぞ それにしてもずいぶんとお疲れだね なんだかんだ言っても 頑張っているんだよな、おっさん まあ、今晩は大目にみてやるよ おいおい、そろそろ降りる駅じゃねえのか ほい、シャキっとして 家に帰りなよ そして、ただいまのひと言は 忘れちゃいけねえよ
ひとりでは たいしたことはなく そのたいしたことのないを 知りつつも綴ってゆく それしかなくて それがあれば充分で 大勢のひとたちと創り上げる エネルギーはないけれど 線香花火のように ちりちりと燃えながら なるべく微笑んでいたい それしかなくて それがあれば充分で
環境に影響を受けない 僕のもともとある踏ん張る力が 生かしてくれている 人間という概念から外れた 宇宙にある運命といえるだろう ほら、僕が生きていられる不思議 考えたってわからないだろう どんなに惨めな思いをしても 静かに笑っていられるのさ しなやかに強い心根は変わらない どんな時だって僕は僕に優しい 裏切ることなんて皆無だけど もしも裏切る時があるとしたら 宇宙を生み出したトコロが 僕をゆるしてくれるのだから
詩の締めきりに追われ、やっと詩作から逃げることができた。逃げるといったら詩が嫌いなんじゃないかと思われてしまうか。 でもそこっ、今風(死語?)に言うと微妙って感じなんだよな。縛られる感じで詩を書くのも悪くない。 絞り出せ、絞り出せ、そして頭の回転に歪みが出てきて、それをなんとか軸を真っ直ぐに立たせながら組み立ててゆく。 ちょっと作業? いや、創作、創作と言っておこう。なっ、わけで締め切りから解放されたら何をするかと言うと、やはり詩作をしてしまう。 馬鹿のひとつ覚え、そう詩沢山の日々なんだよなあ。ああ、幸せ。これ、幸せ。それなあ、幸せ。 ♫ 詩作は詩を書く、コツコツコツ、コツコツコツ 詩作〜、詩作〜
「楽器に合わせて歌ってくださいね!」 僕らはみんな鳴っている 鳴っているから楽しんだ 「はい、もうサビだよ!」 ダンボール箱だって お鍋だって ぽんぽんお腹だって みんなみんな鳴っているんだ 楽器なんだ 「さあ、ごいっしょに!」 みんなみんな鳴っているんだ 楽器なんだ〜
先日、埼玉詩人会の詩祭において高校生の朗読を拝聴する機会がありました。学生の表情と声から緊張がとっても伝わってきて、おっさんの私は頑張れと心の中で応援していましたね。 でも学生から言葉の強さが伝わってきます。詩の趣きは日々において模索しながらも進んでいる、といった学生たちの共通した険しい感情を聴くことができ、たいへん刺激を受けました。 詩はやはりどれだけ気持ちが言葉にのっているかだなあ、なんて学生の朗読を聴きながらあらためて感じたわけです。詩を書くという行為より、自分の思いをどれだけ強く持っているかが、詩が活かされる条件であることを気づかせてくれましたね。 詩に慣れてはいけない、ってことでしょうか、反省している私でした。ああ、でも戻れないんだよなあ……(複雑なおっさん心・笑っ)