記憶はすれ違って なんだか物足りないふたり 慣性の法則 ゆるゆると続く回想 もう 視線は交じりを知らない 悲しくもなく 寂しくもなく 想い出にもならない 夢の跡が代りに汚れて ふたりの納得 淀んだ空気の中で無臭 互いの方向に拾う孤独はなく 理由と確信 ドアノブの金属音 時間を捨てる想像の向こうへ Good by......
本日は予定がないため図書館へ。 詩の棚に新しい本が置いてある。 『世界はもっと美しくなる』 詩:受刑者、編:寮千子 (出版社:ロクソン社)という本だ。 奈良少年刑務所詩集の第二弾。 まだ発行されて半年の詩集を手にとる。 前作より纏まった作品が多く、 詩人が書く詩より数段に詩であったりする。 (前作も素晴らしい) 読んでいて時間を止めてくれる作品ばかり、 グッと惹きつける素晴らしい詩集であった。 すべて受刑者が書いた作品集となっている。 やはり著作権があるために 作品をブログには載せられない。 詩集はインターネットなどで、 全て無料で拝読できるようになれば、 素敵だなと常々思うのです。 すると詩人が詩を書き収入もなくなるが、 それで良いのではないだろうか。 詩はすべてボランティア。 紙媒体は読みやすくカタチへの想い入りがあるが…… (インターネットを使わないひともいるよな……) って、いうか自腹を切って 私家本を出される方も多いが、 それはそれで凄い意気込みを感じ、 尊敬に値するものではある。 かなり脱線してしまったが、 こちらの本はこれこそザ・詩ってことだ。 とても心を揺さぶる詩集であった。 個人的に好きな作品は「涙」。 34ページ。 頑固で仕事一本の父で、 息子の名前さえ呼ばない親。 しかし、その父親が警察に 「こどもを漢字ひとつであらわすとなんですか」 と問われ、「宝」と書いたそうだ。 このストーリーに含んだ親子の繫がりにハッとした。 よしっ、もう一度読んでみようかな。。。
なっ、わけで ぼくはそうなんだ えっ、どうして ぼくはこんなに ぼくをそんなに こんなにしてしまうのは いつか観た あの映画のせいかもしれない そうして太郎は 行ってしまったのだから 言葉を捨てられ かなしみの伝言すらできない あっ、いた ぼくが向こうに えっ、どうして ぼくはこんなところに そして二郎は 帰ってきたのだから 言葉に絵の具をぬり べつじんとして なっ、わけで ぼくがそんなに こんなになってしまったのは ぼくが三郎だからなんだ
ごきげんよう 私がミスターポエムです ご存知でしょうか 多くを語らない 想像を詰め込んだ 風船を膨らませている者です 流れゆく喜色、怒色、哀色、楽色 感情が揺れるように バランスよく散りばめます どの色をキャッチするかは みなさまのご気分しだいです 迷わずにすっとお取りください あららっ 涙を流されているのですね でも大丈夫ですよ その風船に願いを込めて 手放してみてください きっと 素晴らしい未来が待っています 私はそのために 風船を膨らましているのですから みなさんの幸せを夢みる 私がミスターポエムです
唸りを上げた朝 喉の渇きに目が覚め カーテンの隙間からは 光が走っている 得体の知れぬ風船は膨らみ続け その時を待っているのか それでも いつもと変わらぬ振りして 何処へ向っているのかも分からず 今日一日を塗り潰しに行く 心の地盤は緩々になって 周りの顔色を覗き 何ひとついつもと変わらぬ 肌色が連なっていることに気づく 如何にかしているのか自分 いつもの楽観スタイルはどうした ほらっ 未来に叫ぶことのないように 願っている小さい個人 平和への意識は昨日より今日 今日より明日と高まってゆくが 行動が伴わぬ ジレンマと電車に揺らされて
散ってしまえば 追いかけるように 若葉の新しい色は眩しくて ぼくは両手をひろげ 春の景色ごと 抱きしめるように さあ進んで行くぞ 終われば始まる季節に 遠慮などいらない まだ輝ける時を 過去になんてしないのさ さあぼくは行く 行く行くぼくは行くのさ
ひとがいると ひとりになりたくなって ひとりになると ひとこいしくなって ぼくはわがままで あいかわらず せいちょうしなくて それでもぼくは ぼくをしているわけで それでもひとは ぼくのあいてをしてくれて ありがとうだけは わすれないようにつたえよう
戦争が始まってしまうのか 平和な解決がどんどん向こうへ 今の状況では そう把握するしかないようで 私たちは生き残らなければならない 今まで生きてきた知恵を絞りだし 何としても明日に繋げなくてはいけない もし離ればなれなった時のために 家族間で集合場所を決めておこう 食料貯蓄はあるか 薬はどうだ 水は大丈夫か 防寒のための道具はあるか 今一度、備えを蓄えよう 不安を煽るつもりはないが ある時に突然 最悪な状況に陥る可能性も 今、自分たちを守る そんな想像が必要な時かもしれない 身も心もモノも調えるべきだろう
君は言った 始まったばかりだ と 僕はまだ 始まっていない と なのに君は逝った 何も始まらず に そして僕は崩れた 受話器の向こうの嘘 と 君は冷たかった 動かず に 僕は現実が何処か わからず に 君の煙は哀しく 悔しい灰色 で 僕の口からは だらし無く白色 で 君は言った 終わった と 僕も終わりたい そう言う と 君の煙さえ消えて もう何も言わず に
布が貼りついたような 少し麻痺した頭 湿った春に吐きそうになる 頑張りすぎた後の夜には いつも耐える時間が必要だ 望んで進んでいる道 悔いなどひとつもないが 疲弊すれば心細くなり 詩を綴っている そして救われて 自分と素直に会話をすれば 静かな言葉の森に遊び 疲れた痛みなら忘れさせてくれる ほんの少しだけど大切な時間 表現との出会いは素晴らしい 現実逃避ではなく 自己発見をする旅のようなもの その時間の喜びに今は感謝している もし詩が綴れないくらいの 痛みが再び襲うかもしれない そんな時でも 言葉の森に行けるように 自分の世界を構築しておこう 少しでも痛みから遠ざかり 帰って来られるように今日も森に行く