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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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thread
古(いにしえ)の古の
古の空箱の
素敵な物語の
欠けらの
欠けらの

パンっと
破ってと
君がいうと
どこかへ飛べると
飛べると

不思議な
黄ばんだ紙の匂いのような
懐かしいような
夢のような
軽やかな

もう浮いている
浮いている

君は知っている
知っている

僕も知っている

君を知っている
知っている



#詩

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今を込む

thread
痛みが走るカラダ
その中で元気が叫ぶ

俺は今を生きて
納得を飲み込めれば
もう目覚めなくても本望な覚悟は
違う次元で詩を綴らせるはずだ

追う納得という奴は
掴めそうで掴めないから
俺の心中を引きちぎり
バラバラにしては
不完全燃焼のカスで山を盛る

嘆いている暇は俺にはない
有限のカラダに
有限の魂からの消える恐怖を
塗り潰しながら今がある

ひとが感じる俺の魂など
真実のモノではない

追求する表現者は
自分に自分を近づける生きモノ
いつ死のうが
納得に近づく矢印になり
リアルタイムに投身しなければ

痛みの中から
やっと見つけた鍵穴に
俺を差し込むだけだ

そこが始まりでだろうが
終わりであろうが

#詩

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静点

thread
市営野球場の
駐車場から聞こえる
直線の音

遠くを忘れた空
揺れることのない枝

燻んだ空気の色
誰も見ようとしない桜

冷たい裸体
左手を高く掲げる銅像

ベンチに座る男
固まっているカラダ

直線と歪んだ足音だけが
やけに響いている

静かにあった存在の迷い

止まらずにはいられない
動くものは怪しいモノ
襲いかかる無言

止まる直線

止まる足



#詩

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日めくりに栞を

thread
私の一日はまだ終わっていないが
日をめくる時計

二十四時間では足らない日々の
ゆとりが忙しさにくっ付いて
めくられてしまう

現実を味わって過ごせる
心のセンスは乏しく
人生のデッサンは線がはみ出し
ガクンと落ちて眠りに就く


目覚めれば未練の布団から
いざ出陣なんて気合を入れて

まだ寒い桜の下
私が冴えていないのだろう
綺麗なはずのものが反射してこない

社会で生きることの
継続と忍耐が必要であるように
ステレオタイプという言葉を
足の裏に刻みながら押しつけている

それでも一歩一歩
今日も先へ進むことに執着しよう

それでも一歩一歩

今日も轍の道が平らになると信じて
桜が桜であるように
私が私であることを捨てぬよう
「それでも」と言う栞をはさみ
日めくられる日々は続く


#詩

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男兄弟ってやつは。。。

thread
男兄弟って、そんなものなのか。

父が亡くなる前に病室で兄と会う。十五年ぶりの再会であったが、気まずい理由はなかったはずなのに疎遠であった。痩せていた兄が太っている姿を見て、時の経過を感じた。住んでいるところも車で四十分ほどしか離れていないはずなのに、こんな場所で会うのはなんだか親に申し訳ない気がして。

子どもの頃はもちろん毎日のように空き地で野球をして遊び、兄弟の仲は良い方だっただろう。ハデに罵り合う喧嘩もなく、いつも暇があれば遊びを見つけ楽しんでいた。

しかし、兄と話し始めると時間の経過は何の障害にもならないことがわかる。たわいもないむかし話に花が咲く。会話のパターンも変わらず同じ。私がボケて兄がボソッと正す。
「前の車のハイバード(hybrid)って、ハイブリッドカーだよね」と前に走る車を指さし私。
「あれ、ハイブリッドって書いてあるぞ」と兄。
私は恥ずかしながら、ずっとハイバードというハイブリッドカーがあると思っていた。この様な会話は誰ともせずに、やはり十年くらいは訂正されず。教師をしている兄は「馬鹿だな」という言葉は使わない。それは恥を強調しない兄の人柄からくるのかもしれない。

それからは、電話で兄と話すことが自然になってきた。まあ、互いに用事や聞きたいことがあった時だけだが。兄弟の関係は修正されたようだ。

来月には父の三回忌。兄弟の会話に父は天国で笑うことだろう。
余計なことを一切言わない父は「らしいな」と頬を緩ませて。

#詩 #雑記

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朝空からふる輝きを

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暗い心持ちを照らす朝の輝き
ふざけてくすぐられているような
ちょっと照れくさいけど
嬉しい気持ち
わかってくれますか

昨日と今日は一日を過ごしたぶん
私の中で何かが違っているのだろうと
探ってはみるものの
空模様の違いほど
はっきりとはしていません
とてもごちゃごちゃして

見えているもの

見ようとするもの

見なくてはいけないもの

見たくないもの

疑心が膨らんできては
のちのち苦しくなってしまいます

悩みのち快晴

空のように
はなかなかメリハリがつきません

でも今はなんだか気分がよくて
僕にはない輝きの
恩恵を与り進んでいるのですから

こんな気持ち
わかってくれますか

#詩

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月の詩人たち

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今宵も僕のように
上弦の月を指さしながら
何人もの詩人が
幻想の夜空にいるのだろう

生活の糧になる訳でもなく
ただ価値観はよく解っていて
月の色を想像せずにはいられない

声を出して笑う楽しみではないが
充実を得る静かな楽しみはある

向き合ってもいないのに
視線を感じてしまう精神から
綺麗なモノが通り過ぎたり
汚いモノが溢れ出したり

迂回路の途中に時計をぶら下げ
歪んだ時間は芸術的な飛び方をする

僕らは蒼き魅惑の中
彷徨える充実の羽をひろげ
何処までも月へ向かう

#詩

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ありがとう詩よ

thread
揺れて怯える僕に
折り合いを歌わせてくれる

鳥がさえずり
浴して伝えるように鳴いている

想像は涙さえ枯らして
向こう側にいるだろう君から
歌う力をいただいて

僕が自由に寄り添っても
破けることのない
紙面はいつも優しく待っている

#詩

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淋しき夢から

thread
淋しき夢に涙した
まだまだ弱い空の下

流れるもの冷たさに
噛みしめ鳴った悔しさよ


淋しき夢に涙した
肥やし蒔いた空の下

誰が知ろうかこの孤独
押しては返す鼓動の波よ


淋しき夢に涙した
まだまだ終わらぬ空の下

誰が笑うかこの孤独
誉れ消し去り躍動の人よ

#詩

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サラリーマン/雨の露天風呂を満喫

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土曜日の仕事は午前までから
週休二日制になって何年経ったろう

でもルール通りには行かない
出張したのなら午後は観光だ
サラリーマンは気楽な稼業であって欲しい

雨の露天風呂
首までつかり天を仰ぐ
顔だけにぽつんとぽつんと落ちてくる

子どものように口を開け
雨を飲み込んでみたりすり
都会じゃなければ許せるお遊びだ

水面をほぼ平行の視線で雨粒を見る
音と跳ね返り
何もかもが響いて揺れている
ずっと感じていたい癒しがあった

詩人ならいい湯を
いい湯と言わずに表現したいところだが
我はサラリーマン

ああ、いい湯だ
雨に打たれればなおいい湯だ

サラリーマンは気楽な稼業であって欲しい
今日はビールもつけて
こっちに泊まってしまおうか

#詩

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