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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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詩んでいく

thread
ねえ
わたし
とことん
詩んでもいい

ああ
いいんじゃねえ
詩にたいんだろ
詩ねば

えっ
ほんとうにいいの

だって俺も
お前の知らないところで
実は詩んでるし
めちゃ作品あるぜ

うそっ
それっ
やばいじゃん
ジャンル的に
おねがい
そんなこと
やめて
詩ぬなんて

えっ
お前は俺に
とことん
詩んでもいい
って訊いたよな
自分だけ
詩まみれに
なろうなんて
ゆるせねえ

でも
あなたには
全うな道を
歩んで欲しいの

そんなこといって
もう詩なないと
俺もお前も
生きていけねえじゃん
一度の人生
詩んでいこうぜ

そうね
たしかに
もう詩なないと
駄目かもね
私たち

おう
詩んで
詩んで
詩んでいけば
いいんじゃねえ
楽しいし
活力にもなるし

なっとくなっとく
一度の人生だもんね
いつまでも
一緒に詩にましょう

詩んで~詩んで~
詩まれて~詩んで~

へんな歌っ
でもなんか幸せ
私たちもっと詩のうね

#詩

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文学散歩へ

thread
ほどよい列車のゆれ
栗橋あたりから
稲穂が
私を束ねないで
新川和江さんの詩のように
風の自由が語りかける

初めて足を運ぶ文学散歩
もし
詩の朗読をすることがあれば
この詩を風邪で掠れた声だけど
歌ってみよう

今年は
雨の多さに埋もれた街があり
辛い季節に萎えた
それでも自由を失わず
心だけは強くありたい
車窓の向こう
稲穂が風を背に垂れている

今日
新川和江さんの集められた
一万冊の詩集に囲まれに行く

きっと強く生きるヒントが
見つかるような気がする

列車はゆれる
ひとはひとに救われ
微笑みを返せるのだから

#詩

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みっけた

thread
なくとも
なくとも
あるような

もしも
もしも
もしもし
きこえてますか

なくとも
なくとも
あるような

とんと
とんと
とんとん
きこえてますか

なくとも
なくとも

んっ
ここに
あるじゃん

#詩

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#あかり詩

thread
何も見えない
暗い世界に入り
焦りが走る

しかし
過去の世界を
諦めるのに
さほど時間は
要らなかった

不条理を
受け入れる
姑息ではなく

生という闘い
死ぬという道標
魂のあかりに
促され行くのみ

#詩

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#人形詩

thread
大きいおねえちゃんは
ぼくのことを
人形だと思っているんだ

頭にリボンつけ
スカートをはかせたり

ぼくがいやだと言っても
だいじょうだいじょうぶ
すごくかわいいからと言って
なんだか楽しそうだ

おねえちゃんが好きだから
がまんしているけど
ぼくは
ヒーローになりたいんだよ

#詩

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名前の後に命と書いて

thread
どちらかといえば
嫌いだったタイプの
君を好きになった

パープルに髪を染め
清潔感の反対側
地べたを滑るスカート
黒いマスク

怖がられている
睨みつける瞳
だけど僕にだけ見せる
嘘のない笑顔

近よってきた君
遠ざけなかった僕
次第という言葉に
育み歩いた

突然は二つ目の季節
台風の後の青い空
君への仕打ちは
雲ごと消され

君の反骨
その代償は辛く
塀の内側に
思いを募らせた

君は本当に
僕が好きだから
もう逢えないだろう
汚したい空

さよならのかわりに
いつもごめんね
という君を思い出す
この空を知っていたんだ

#詩

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#豆腐詩

thread
知っている
豆腐がどうしようもない
僕を救ってくれることを

躓いた時に
何気にクッションとなって
痛みを与えない

もうやっていられない
そんな時に
豆腐が巨大化してプールになる
僕は狂ったように
破茶滅茶な格好で泳ぐ

腹へって死にそうだ
そんな時は醤油をかけて
いただきます



#詩

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#登山詩

thread
十年前
父と富士山を登った

二十年後
私が父と同じ歳になる

果たしてその頃に
私は頂上へたどり着くのだろうか
その前に生きていることが前提だけど

そうだな
これをひとつの目標にして
あのゴツゴツした長き連なる山道を

どんな景色に見えるのだろう
どんな自分に会えるだろうか

#詩

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忘れない物

thread
息子がまだ泥だらけになり遊んでいた頃
誰よりも自由を手に入れた顔して
走り転んでも痛みをすぐに忘れる
遊びの天才になり
青空は君のためにあるのか
なんて思うくらい飛び回っていた

小学校も高学年になると
社会性を持つように学校でも厳しくなる

授業で必要な道具を忘れた息子は
「忘れ物について何か書きなさい」と先生にいわれ
クラスでひとり違う課題を与えられた

書き上げた文章は詩であった
子どもはみんな詩人だと思っていたが
息子も同じように自分を表現していた



忘れ物


ぼくは変だ
遊ぶやくそくは覚えているが
学校の宿題は十分くらいで
忘れてしまう

ぼくは変だ
遊ぶ持ち物は覚えているが
学校の持ち物は五分くらいで
忘れてしまう

ぼくは変だ
連絡帳に書いたものも
一分ぐらいで
忘れてしまう

ぼくは変だ
だから
学校を勉強するところと
忘れないようにしよう



この詩がなぜかクラスだよりに載って
初めて目にするのであった

自分がどんな性格かを考え
学校という社会と照らし合わせながら
子どもらしいユーモアもあり
反省していることが書かれ驚いてしまった

子どもが大人になるため
社会性を持つことは大切であり
親としてはそれが嬉しくもあって
あの自由を手に入れた息子の顔
目に浮かべると寂しくもある

「忘れ物」の詩には「忘れない物」があり
強く生きるためのユーモアは誰にも奪われず
自由な力となり逞しさを忘れやしない

#詩

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オアシス

thread
遠くから聞こえる犬の鳴き声
開いたままの本が
風でページをめくる音
実家の静けさの中で
懐かしく透明に響いてくる

動くことを遠ざけた身体は
余計に硬くなってしまうから
そろそろ立ち上がろう、と

線香の匂いが流れ
パイプ椅子を運び入れ
昨日、テレビで紹介していた
ストレッチに汗をかく

すでに休み明けの勤務を想像して
なんとか来週もやっていける、と
この怠さを前向きに考えている

そしてまた横になり
母親の不安話しと幸せ話しを聞く

まったりと時間が過ぎてくる
ああ、俺はここで育ったんだな

母ちゃん、腹へったよ

#詩

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