シロバナヒガンバナ(白花彼岸花) ヒガンバナ科(Amaryllidaceae)
学名:Lycoris albiflora Koidz.
別名:白花曼珠沙華(シロバナマンジュシャゲ・白花曼殊沙華)
英名:Cluster-Amaryllis
ヒガンバナ科ヒガンバナ属(リコリス属)
多年草(耐寒性球根植物)・・・東北以南
開花期:9~10月
出葉期:10~翌年5月
原産地:中国、台湾、沖縄、九州
(ちょっと細かく記した)
ブログルのホームを覗いたら、「白花彼岸花」をアップされてる方が多く見えた。
昨年、里山で植栽されたと思える「白花彼岸花」に出会った時!?!
なんでここに彼岸花が?と。里山は野生・生態系を堅持して欲しいと思っていたから。
昨今の里山は、自生地的ではなく、動植物園化してる、と密かに憂いていた。
これは、個人の勝手な思いでしかないのだが・・・。
日本は、園芸天国で、其の技術といえば江戸期より栄々と積み重ねられている。
世界に誇れる、園芸技術、これはこれで、誇りに思っている。
扨、さて、本題に戻って、「ヒガンバナ の白花種」について。
「紅白でおめでたきかな曼珠沙華」と詠んだ方が居られた。
紅白の彼岸花を目の前にして、園芸家は、翌々考えて交雑種をつくるものだと感心仕切りだった。
ヒガンバナとショウキズイセン との交雑種くらいは、知っていた。
だが、わずかにクリーム色がかった花、淡いピンクや、オレンジ色がかったのもある??
ヒガンバナの種からは繁殖できないと聞き及んでいた。
交配の元は、コヒガンバナか??園芸種では中国原産のシナヒガンバナが用いられてると資料にある。
白花曼珠沙華(シロバナマンジュシャゲ)。。。シロバナマンジュシャゲ・・!?!
ある所では、白花曼珠沙華(シロバナマンジュシャゲ)はヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草で、
鍾馗水仙(ショウキズイセン)と小彼岸花(コヒガンバナ)との自然交雑種である。
草丈は30センチから50センチくらいである。根際から生える葉は線形である。
彼岸花(ヒガンバナ)よりも太く、鍾馗水仙(ショウキズイセン)よりも細い。
葉のある時期には花は咲かず、花期には葉がない。開花時期は9月から10月である。
花の色は白く、ピンクのぼかしの入るものもある。
花びら(花被片)は6枚である。強く反り返るが、彼岸花(ヒガンバナ)ほどは反り返らない。
また、縁の皺も弱い。雄しべは6本で、先に花粉をつける。
花粉をつけていないのが雌しべの花柱である。
花の後にできる実はさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
結実することは稀である。鱗茎にはアルカロイドを含み、猛毒である。
こんな解説がなされてもいる。
「曼珠沙華」とは梵語(サンスクリット語)で「紅色の花」を意味する。
白花彼岸花(白花曼珠沙華)・・なんとも不可思議・・!?!
俳句では「曼珠沙華」、「彼岸花」が秋の季語である。
属名のLycoris はギリシャ神話の海の女神「リコリス(Lycoris)」の名、美しさを称え名付けられた。
種小名の albiflora は「白い花の」という意味である。
・・・束の間に果てる夢ならこの夢に 白無垢を着て曼珠沙華咲く・・・という句もあった。
シロバナヒガンバナ(白花彼岸花)とは・・・ヤッパリ不可思議だ。
・・・以下に少し詳しく・・・
白花彼岸花は、
中国原産のヒガンバナ(支那彼岸花)の赤花種二倍体変種(Lycoris radiata var. pumila hort.)と
中国・ビルマ・日本南部に自生する黄花種のショウキズイセン(鍾馗水仙;Lycoris aurea (L'Her.) Herb.)
との自然交雑から生まれたと、資料にあった。
白花と言っても、完全な白ではなく、黄色やピンクが混ざる変異があるとのこと。
それは、ショウキズイセンが何種類かに分かれていて、
これらの組み合わせによって純白種や色の付いたものが出て来るのではないかと思われているようだ。
白色のものを Lycoris elsiae、ピンクが混ざるものを Lycoris houdyshelii とする見解もある由。
リコリス交配の染色体について解説は、草と木と花の博物誌HP「ヒガンバナと呼ばれる植物」ヒガンバナ属の分類を参照してください。
「草と木と花の博物誌」ネット社会だからこそ簡単に覗ける資料、感慨深いものがあります。
別の解説では、、、
<シロバナヒガンバナの由来>
秋の彼岸の頃に野山を彩る真っ赤なヒガンバナ(Lycoris radiata)は3倍体で不稔ですが、2倍体には種子が出来ます。
この2倍体に近縁の黄色のショウキズイセン(L.aureaという学名でしたが、現在はL.traubiiが採用されているようです)が
交雑して生じたのが、シロバナヒガンバナと言われています。
赤と黄色の「種」が交雑して白花になる。おかしな話ですよね。
でも赤い色素、リコリシアニンの生合成をショウキズイセンの遺伝子が阻害し、
同時に黄色の色素(カロティノイド~カルコンのいずれか)のそれをヒガンバナの遺伝子が阻害するとすれば、
白しかありえないということになります。
ただその阻害は、必ずしも完璧ではありません。
ですから純白の他に、微妙な遺伝子型の違いで薄いピンクがあったり、薄い黄色があったりするわけです。
ところで、キツネノカミソリとショウキズイセンとの間にも、種間雑種があります。オオスミとベニサツマがそれです。
この場合は、色素合成に対する異種遺伝子の阻害作用が緩やかなためか、
雑種の花色は赤い色素と黄色い色素が入り混じった樺色~橙朱色を呈します。
ただキツネノカミソリとショウキズイセンの自然の開花期は、前者が7中~8上と夏咲きなのに対して、
後者は秋の彼岸頃と大きく食い違っています。これでは雑種の出来ようがないではないですか!?
その謎を解くために、キツネノカミソリの開花期を調べてみました。
すると九州北部のキツネノカミソリは、なるほどモノの本に書いてあるとおり夏咲きですが、
南に下がると夏咲きのほかに秋咲きが出てくること、それも南の方ほどどうやら開花期が遅くなることが判ってきました。
それで最後は、雑種が濃密に分布する指宿周辺を精査することにしました。すると“在った“のです。
山川成川地区の民家でショウキズイセンとばっちり時を同じくして開花しているキツネノカミソリを発見しました。
1984年秋の彼岸のことでした。
当時、国鉄勤務の民家の方(九州北部出身)は、このキツネノカミソリを私は「ボケヒガン」と呼んでいますとのこと。
キツネノカミソリにしては、花期が“呆けている”というわけです。
でも呆けているが故に、貴重な種間雑種が生まれることになったわけで、
花の中にはこのような出会いもあったのかと感無量なものがありました。
いろいろな植物で種間雑種が生まれる・・・自然界の妙としか言えません。
遺伝子の組合わせは、尽きることを知りませんが、そら恐ろしくも思います。
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