《 雅羅・/・〝晩秋の樹実〟❖ ’24-321 ❖ 》

ムラサキシキブ(紫式部) クマ... ムラサキシキブ(紫式部) クマツヅラ科(Verbenaceae)
学名:Callicarpa japonica Thunb. ex Murray
別名:ミムラサキ、コメゴメ
ムラサキシキブ(紫式部);ムラ... ムラサキシキブ(紫式部);ムラサキシキブ属、落葉低木
北海道、本州、四国、九州、沖縄、と全国各地で普通に見られる。
山野の林内や林縁に生え、樹高3m前後。樹(枝)皮は灰褐色。
はじめ細かい星状毛があるが、のちに無毛。皮目は縦長の楕円形。
幹は、灰褐色で枝は真っ直ぐに斜上する。
樹幹自体、真っ直ぐで堅く強い。道具の柄や杖、箸に用いられた。
葉は対生し、葉身は楕円形または長楕円形で、薄い洋紙質。
両端は次第に尖り、縁全体に細かい鋸歯があり両面とも無毛。
裏面には淡褐色の腺点が散在する。葉柄は長さ2〜7mm。
6~7月に葉腋から集散花序を上向きに出し、
淡紫色の花を多数開く(コムラサキより花の密度は少ない)。
花冠は長さ3〜5mm、上部は4裂し、裂片は平開する。
花弁は筒状で4裂、雄蕊4本、雌蕊1本。
雄蕊、雌蕊ともに花冠の外へ長く突き出る。
10月~11月に、球形の果実(核果)が紫色に熟す。
核果は直径3~5㎜、核(種子)は長さ2~2.5㎜、淡褐色。
落葉後も果実は残る。
属名のCallicarpaは「美しい果実」の意。
英名は、Japanese beauty-berry「日本の美しい実」。
葉は、気候条件によって黄葉の色合いは異なる。
似た仲間にコムラサキやヤブムラサキがある。
更にはヤブムラサキとの交雑種にイヌムラサキシキブがあり、
葉の裏面に星状毛が残る。
ムラサキシキブ・・・葉の鋸歯はほぼ全体。花序は腋生かわずかに上から出る。
コムラサキ・・・・・葉の鋸歯は上方のみ。花序は葉腋より少し上から出る。



《 果実と黄葉の色合いが綺麗な〝紫式部〟 》
《 雅羅・/・〝晩秋の樹実〟❖...
《 雅羅・/・〝晩秋の樹実〟❖...
**  神奈川県植物誌  **... **  神奈川県植物誌  **
1.ムラサキシキブ属 Callicarpa L.(関口克己,『神植誌 01』:城川四郎,図:城川四郎)
高木または低木,葉は対生し,腺点をもつものが多い.
花は葉腋から出る集散花序につく.花冠は短い筒部があり先は 4 裂する.
雄しべは 4 個,同長で花冠につく.柱頭は 2 裂,核果は球形.
世界に約 140 種,ヨーロッパ,北アメリカ,アジアに広く分布する.
日本には 6 種がある.県内には 2 種が自生し,逸出が 1 種ある.
A.枝,葉,花序は萼とともに密に星状毛があり,萼は深裂する.
葉の両面に腺点がある ..............(1)ヤブムラサキ
A.新芽や花序には星状毛が目立つが,他はほとんど無毛に近い.
萼は浅く裂け低い 4 歯をもつ.葉は下面だけ腺点がある
B.花序は腋芽に接するか,またはやや腋芽の上から出る.
鋸歯は葉の基部近くから出る
C.有花枝の葉は長さ 14cm 以下,葉面に光沢はない(無花枝の葉は長さ 15cm を超えることもある).
山地~丘陵に生える........................................................................(2a)ムラサキシキブ
C.有花枝の葉は長さ 15cm を超え,枝も太く,葉面はやや光沢がある.
海岸近くに生える....................................................................(2b)オオムラサキシキブ
B.花序は腋芽の上から出る.
鋸歯は葉の半分から上に出てやや粗い .............................................(3)コムラサキ
(1)ヤブムラサキ Callicarpa mollis Siebold & Zucc.
落葉低木.全体に星状毛が多いが,葉の上面は単純短毛がある.
本州(宮城県以西),四国,九州;朝鮮半島に分布する.
県内では箱根,丹沢,小仏山地,多摩丘陵,三浦半島に分布するが,
沖積地にはほとんど見られない.特に葉の小型のものをコバノヤブムラサキ
form. ramosissima (Nakai) W.T.Lee という.
標本:コバノヤブムラサキ 湯河原町 1985.5.23 山口育子 KPM-NA1018296;
厚木市七沢 1996.5.15 諏訪哲夫 ACM-PL007282.
(2a)ムラサキシキブ Callicarpa japonica Thunb. var. japonica
落葉低木.花も果実も淡紫色で,特に果実の優美さを才媛,
紫式部の名をかりて美化したものという.
成葉では全体ほぼ無毛であるが,脈腋には微細な星状毛が残る.
毛の量はかなり変異がある.
北海道,本州,四国,九州;中国,朝鮮半島に分布.
県内では全域にごく普通に分布する.
小葉品をコバムラサキシキブ form. taquetii (H.Lèv.)Ohwi といい,
本品種は山地分布である.
特に箱根に典型的な小葉品の分布が多いが,開花個体はほとんど見られな
い.
果実の白くなるものをシロシキブ form. albibacca H.Hara という.
(2b)オオムラサキシキブ Callicarpa japonica Thunb. var. luxurians Rehder
前種の海岸型である.花序がやや腋上性の傾向がある.
ムラサキシキブとの中間形があり連続する.
本州,四国,九州に分布する.県内では沿海地を中心に分布している.
→(3)コムラサキ Callicarpa dichotoma (Lour.) K.Koch
落葉低木.ムラサキシキブの名でよく栽培されている.
果実が白色に熟するものもある.
箱根,丹沢,三浦半島以外の地域で採集されているが,
県内に自生していたものではなく,栽培品の逸出と考えられる.
雑種
1)イヌムラサキシキブ Callicarpa ×shirasawana Makino
ムラサキシキブとヤブムラサキとの雑種と考えられる.
ヤブムラサキに比べ各部の星状毛が少なく萼は中裂する.
横浜市,川崎市,相模原市などで採集されている.


「余録」
ムラサキシキブ名に付いて興味深い資料がある。
江戸期・町人文化の粋、化政文化(1804年-1830年)時代。
園芸の隆盛を極めた頃に記された文献に『本草綱目啓蒙』がある。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』(1806)32 紫荊の条に、
「ヤマムラサキト云、一名ムラサキシキミ 紫式部 タマムラサキ
 コメウツギ紀州 コメゴメノ木越後」。
この文面で、“一名ムラサキシキミ”に関心を持った。
ムラサキシキミ「紫重実」と書くが、重実とは実が重なり合うを意味する。
紫の実が重畳と重なり合うように稔る様だが、ムラサキシキブの同義語。
京都地方に伝わる古くからの呼び名。
こうした呼び名が、いつしか紫式部に落ち着いたか。和の美的表現。
 
 
 
「令和陸年(皇紀2684年)11月16日」
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