タマアジサイ玉紫陽花 アジサイ科(Hydrangeaceae) 学名:Hydrangea involucrata Sieb. var. involucrata ツボミが開き、中の花びらやガクが顔をだした時が最もわかりやすい。 季節外れ、遅れて咲いたアジサイではない。 高さは約2m。葉の形は長卵楕円形・倒卵状楕円形・倒卵形。花序は白色または紫がかる。 福島県~岐阜県の太平洋側の山地で見られる。 名前の由来、最初花序が総苞に包まれて球形であることから。 紫陽花行脚の〆に拝む花。 9月3日誌「大和市・泉の森」
アマミクサアジサイ(奄美草紫陽花) アジサイ科(Hydrangeaceae) 学名: Cardiandra amamiohsimensis Koidz. 両性花のみ・・コアジサイやジョウザンアジサイと同様に装飾花なる萼がない。 奄美大島と西表島にだけに見える固有稀少種。 個体数が減り「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い」 絶滅危惧IB類(EN)に指定されている。 自生する姿、未だ拝したことがない。今時分に見れるらしい。 南国にあって、季節的に最後に拝せる紫陽花。一見の価値ありそうだ。 天星した若者を偲んで来年は、訪ねたい。 慎ましく・・楚々と咲く姿、魅せてくれますねぇ。 9月2日誌「奄美大島」
9月8日は十五夜。 今月の表紙と思って画像を作っていた。 今年の夏は、全国各地で大災害があり、亡くなられた方も・・・。 謹んで哀悼の意を表したい。被災された方々、お見舞い申し上げます。 この8月は、個人的だが天星された友・知人を幾人も見送った。 各地を訪れ感慨に胸苦しめられ辛い1ヶ月間だった。 気持ちを新たにして、ブログに向かっていると・・・。 親しい友から電話が入った。 【「豪太郎」が、不慮の死で・・・!10月5日にお別れ会を!?!】 長男の悪友の兄が・・・!言葉を失う。 * * * 8月の後半、昔を思ってか、高山植物を思い出していた。 今、こうしていられるのは・・・山での事故があったから・・・と。 ヒマラヤを目指し、偵察登山で見たマチャプチャーレ(山名)に感激し・翌年の本番に向かって。 その本番の年の初夏、黒部の丸山東壁で事故を引き起こした。 脊髄等を痛めて、登攀を諦めたは、断腸の思いだった。だが・・・それ故、今がある。 登攀仲間・友、沢山の仲間、ほとんどの仲間は山で天星してしまった。 山でだ。。。 僕にしても高校を卒業した時、お祝い山行、春の穂高奥又白で雪崩に遭遇。 4年後、ヨーロッパへと。。。だがその実は、悲惨な結果だった。 22歳の夏、アルプスの壁を・・と出かけた・・・。 快適さを誇る“Aiguille du Midi South-East Pillar(Rebuffa)” 7ピッチ程度の短い登攀、天気予報も装備も慎重に対処せず登攀開始。 核心の3ピッチ目を終わった所で天候急変、2日間ツエルトを被ったままで!! よくぞ生きていたものだ、と今にして思う(その時のパートナーは、谷川岳で2年後、亡くなった)。 結果、3日目の晴れた朝、ヘリに救助されて。そのまま病院へ直行。 危うく3本の足指を切断するところだった。運良く五体満足で退院出来た。 そして、3年後の上記事故で登攀をやめた。 だが10数年後に子供達とモンブラン・マッターホルンを登ることができた。 傷心の思いを抱えて退院したのが、1968年9月1日であった。 そんな思い出の日に・・・。 我が子年代の親しき子が、、、3人目だ。天星なんて、なんとも忍びない。 * * * 長男が、小学校で初めて得た友達「雷太(名前)」。 奴の長兄「豪太郎」、中々の心意気ある子だった。 長兄の彼は、感覚がおじいちゃんに似ていると聞いていた。 テレビの創成期番組で「日真名氏飛び出す」というのがあった。 その日真名氏を演じていた方(久松保夫さん)の孫だ。 久松保夫さんの名前・顔は存じ上げていたが、お会いしたことはなかった。。。 久松さんの奥様(我々は、オバアチャマと言っていた)も往年の名ダンサー。 今は無いが、東京数寄屋橋に「日劇」と云う大きなホールがあった。 オバアチャマは、そこのトップダンサーだった由。 娘(紅)さんは、保護者友達。以来、家族ぐるみでお付き合いしてる唯一の家族。 「豪太郎」君とは、この春、彼のお子さんともども会っていた。 不慮の事故、とは申せ、只々、ご冥福を祈るばかりだ。 いたたまれないって、今の我が心境。。。辛い。 9月1日誌「友よりの知らせ」
ホソバヒナウスユキソウ (細葉雛薄雪草) キク科(Asteraceae) 学名:Leontopodium fauriei var.angustifolium 上信越地方の至仏山(尾瀬)・谷川岳周辺にしか見れない固有稀少種。 「ヒナウスユキソウ」の変種で、二千メートル級の蛇紋岩地帯に生える。 背丈10~20センチ位、葉は広線形または長楕円形で表面には綿毛が密生する。 茎の先に黄色い花を咲かせ、総苞が星形につく。 「ホソバヒナウスユキソウ」どことなく日本的な花名に映るのは主観的すぎるか? 国内の薄雪草仲間は、5種類。本州・四国、九州の低山帯に分布するウスユキソウ。 北海道東部と礼文島には、レブンウスユキソウ、早池峰山にはハヤチネウスユキソウ、 中央アルプス木曽駒ケ岳にはコマウスユキソウ、 本州北部、秋田駒ヶ岳、鳥海山、月山、朝日連峰、飯豊連峰にはヒナウスユキソウ、 (一般的には、ミヤマウスユキソウの方が通じるかも知れない)が、分布している。 みな全草に綿毛があり新雪を頂いたようなふわふわの総苞葉が美しい。名の由来でもある。 蛇紋岩の岩場に点々と咲くホソバヒナウスユキソウ、朝露を浴び陽の光にきらめく。 我が若き頃の谷川岳一ノ倉沢岸壁群は、其々のルート、順番待ちの盛況を誇る登攀の聖地だった。 学生には時間があり、わざわざ山頂近くにビバークして翌朝この美しい花に見入った覚えがある。 後にスイスアルプスで見たレオンボディウム・アルピヌム(エーデルワイス)も神秘的だったが、 スイスでは乱獲等で自生地は減少の一途。山岳放牧を減少原因に挙げられているがこれは??? 長い間、放牧は続いている。15年ほど前には、スイスの登山基地周辺では、ごく普通に見れた。 “自生野種の花々”もっと大切にすべきだ。国内に置いても同様と思える。 稀少・・・絶滅危惧種の植物を個々の生活地(下界)で育てることは極力避けたい。 植物も動物も同じと心得たい。 流れる霧にみえかくれ、朝露に陽が差した瞬間、ここでしか感じることが出来ない崇高な気分。 背丈15cmほどの可憐さだが、なんとふくよかに見えることか!! 余りにも美しい、貴重な花。来年は、訪ねてみたい。思い出した魅惑の花。 2014年、晩夏 8月31日誌「谷川岳」
トウヤクリンドウ(投薬竜胆) リンドウ科(Gentianaceae) 学名:Gentiana algida Pall トウヤクリンドウは夏の終わりごろ高山帯の岩場で見かけるリンドウの仲間。 花は日が当たらないと開かない。しかし風衝草原や礫地を好む不可思議さ。 空に向かって咲く姿は、濃い緑の葉とその上に咲く淡い色合いの花が互いを引き立てている。 晩夏を飾る稜線の華なる趣き。淡黄色の花冠は緑色の斑点があり,筒形で長さ4~5cm。 リンドウの仲間には根に猛烈な苦さがあり、竜の胆と書く。 これは「竜胆(りゅうたん)」の音読みが「りんどう」に変じたものらしい。 「竜胆」名は、葉が龍葵(イヌホウヅキ)に似ていることに由来するとか。。。! 根は熊胆(ゆうたん=いわゆるクマノイ)のように苦いことから、「龍葵+熊胆=竜胆」に由。 又、トウヤク(当薬)とは薬草になるセンブリのこと。 「当薬」または「唐薬」の別名を持つセンブリと同様に胃の薬として珍重され、乱獲もされた。 この花の淡いクリーム色、地に暗色の砂子模様が入る渋い色調。 逆光にかざすと向こう側が透けて見え、ボンボリをもイメージする。 花冠の口がほとんど開かない。晩夏の高所、気温も下がる。が晴れ間の花の中はかなり暖かい。 トウヤクリンドウの花が温室的はたらきをするなれば、 花を訪れた昆虫の活動は、活発になり確実に花粉を運ぶ事になる!?!自然界の妙と映る。 8月30日誌「北アルプス・槍ヶ岳稜線」
シキンカラマツ(紫錦唐松) キンポウゲ科(Ranunculaceae) 学名: Thalictrum rochebrunianum Franch. & Savat. マツカゼソウ、カラマツソウと同属。 山地の林内の湿った草地に自生する。 花名の由来は、ガクが紫色、ヤク(葯)が金色(黄色)の対比が美しい、で「紫錦」。 茎先に円錐花序をだし、1cm程の淡紫色の花をつけ、淡紫色の花弁状の萼は4-5枚。 同属の多くは開花と同時にガクが落ちるがシキンカラマツはガクが落ちない。 草丈は70-150cm位、全体に毛がない。茎葉は数個あり、3-4回の3出腹葉である。 そう果は20個ほどで、果体の側面には翼状の3稜がある。 観賞用として栽培されているが、自生地に見る風情は格別であった。 8月29日誌「蓼科高原北山地区」
タカネヨモギ(高嶺蓬) キク科(Asteraceae) 学名:Artemisia sinanensis 日本固有種の高山植物。 オオヨモギやミヤマオトコヨモギと同じ高山種のヨモギ。 ヨモギとは「よく燃える木」に由来する由。 お灸のモグサはヨモギの葉から作るらしいが、よく燃える! 熱くはないのだろうか?? 高山植物の効用!?!として「信州大学農学部紀要 48」に興味深い報告を拝した。 「仙丈ヶ岳におけるシカ防除柵設置による高山植生の回復効果」 以下、抄録: 本研究はシカの食害によって高山植生が衰退した南アルプスの仙丈ヶ岳馬の背において,植生回復効果を調査したものである。シカ食害の影響を防止するため,2008年夏に防鹿柵が馬の背周辺のダケカンバ林床とお花畑に設置された。柵設置直後,調査地のダケカンバ林床ではマルバダケブキ,ヒゲノガリヤス,バイケイソウ,キバナノコマノツメが優占しており,お花畑ではタカネヨモギとバイケイソウが優占していた。柵設置後1年,ダケカンバ林床の柵内においてマルバダケブキとヒゲノガリヤスの植被率と積算優占度が大幅に上昇し,お花畑ではタカネヨモギが優占化した。各コドラートにおける多様度指数は,柵内外で平均値に差は見られなかったが,柵内において2008年と2010年の多様度指数に有意差が見られ,柵内の種多様度が増加した。柵内では高山植生の回復が徐々に進み,タカネスイバ,ミヤマキンポウゲ,ミヤマアキノキリンソウの優占度が上昇した。ここで得られた結果は,柵設置によって植被率が増加し,高山植生回復に効果があったことを示すが,一方でマルバダケブキとヒゲノガリヤスの高い優占度は他草種の回復にマイナスの影響を及ぼす可能性があると考えられた。 8月28日誌「北アルプス剣岳・剣御前付近」
ミヤマハナシノブ(深山花忍) ハナシノブ科(Polemoniaceae) 学名: Polemonium caeruleum ssp. yezoense var. nipponicum 日本固有種の高山植物。高山植物の中でも限られた場所でしか見えない稀少植物。 絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている。白馬山麓清水岳・北岳大樺沢で拝した。 花名の由来は、シダ植物「シノブ」の葉に似ていることから、とされている。 ご多分にもれず優美な姿、故の宿命か!盗掘で姿を消しつつあった。 30年以上も前のことだが、盗掘者(5名グループ)を送検したことがあった。 当時は、罰金刑であったが、其の数人が園芸店をいまでも開いている。 法に反していないが、絶滅種の販売は、やめて欲しいとおもっているのだが・・・。 P. caeruleum は変異がとても大きな種であるらしい。 エゾノハナシノブ・カラフトハナシノブ・クシロハナシノブの3亜種が知られる。 日高地方の低地に分布するものは,かつてはエゾノハナシノブだと言われていた。 最近では、ミヤマハナシノブだとする考え方が大勢を占めてきた。 ミヤマハナシノブはエゾノに比べて花冠裂片の尖り方が鋭く,萼片の切れ込みが浅い。 全体に繊細な傾向とされるが、違いはかなり微妙(僕程度では区別出来ない^^)。 見るものからすると細分化しすぎて??? 亜高山帯~高山帯の明るい草原や崖地に見える。 北海道では低地でもみれることからますます盗掘の危機が高まっているとか!! 8月27日誌「北アルプス・後立山連峰清水岳(しょうずだけ)」
シナノキンバイ(信濃金梅) キンポウゲ科(Ranunculaceae) 学名:Trollius riederinaus Fisch. et Mey. var. japonicus 本州、中部地方以北から北海道、高山帯の草原にに見える。 高さ20~70cm。根生葉は掌状に5裂し長い柄あり。 7月から8月、鮮やかな黄色い花をつけるが、花弁のように見えるは萼片。 実際の花びらは中にある細い部分。雄蘂は外についている。 8月26日誌「南アルプス・北岳」
タカネヤハズハハコ(高嶺矢筈母子) キク科(Asteraceae) 学名:Anaphalis lacteal f alpicola 別名:タカネウスユキソウ(高嶺薄雪草) 北海道と本州の早池峰山、北・南アルプスに見れる。 高山帯の礫地や乾いた草地に生え、高さ4~30cm位。 全体に白い綿毛があり葉は白っぽく見える。8月頃、開花。 総苞片は乾いた膜質で白色または紅紫色。 8月25日誌「北アルプス・五色ヶ原」