神戸に住んでいますので、本書の舞台となる阪急今津線もよく知っており、「西宮北口駅」から「宝塚駅」までの8区間(起終点駅含む駅数は10駅:今津・阪神国道・西宮北口・門徒厄神・甲東園・仁川・小林・逆瀬川・宝塚南口・宝塚)は、馴染のある沿線です。
この時間にして片道20分ばかりの距離(9.3キロ)ですが、それぞれの駅名がタイトとなる連作短篇として16話が組まれています。
どの登場人物が主人公とは言えませんが、物語のキーマンは、入社以来5年間付き合っていた彼が、突然同僚の女の子と結婚することになり厭味として結婚式当日に新婦以上にきれいな白いドレスで出席する<翔子>かなと思えます。
この<翔子>を中心に、いろんな人が乗り合わせている電車の中で起こる出来事がユーモアを持って語られ、笑いあり感動あり、ちょっぴり涙ありの連作に仕上がっています。
どこの電車の中でも起こり得る日常的な電車の中の会話や行動に目線が向く、著者の観察眼はさすがです。
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