<常野(とこの)物語>は、 10話の短篇集である 『光の帝国』 から始まっていますが、本書は一冊の長編として書かれています。
物語の語り部としての<中島峰子>が、少女時代に書いていた日記の名称が「蒲公英草紙」です。
1900年代初頭のとある東北の農村の旧家「槙村家」を中心に、その家の次女<聡子>との交流を通して、<峰子>が少女から女性なる自立史でもあり、『光の帝国』の『大きな引き出し』に出てくる、<常野一族>の歴史を『しまう』(記憶する)<春田家>の先祖らしい親子4人が登場してきます。
20世紀という時代に入り、日本国が少しずつ変化していく時代を背景に、ひっそりと移動生活を続けながら<常野>の役目を守る<春田親子>と、旧家としての役割を与えられた一族との関連が、少女<峰子>の目線で、切なく淡く語られていく一冊でした。
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