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- 今年の読書(53)『東京近江寮食堂』渡辺淳子(光文社文庫)
B級グルメ派として、著者の作品は初めてになりますが、タイトルにひかれて読んでみました。
主人公<寺島妙子>は、病院勤めの定年を迎え、10年前に突然に失踪した料理人の亭主<秀一>から届いたはがきの消印を頼りに、有給を使い滋賀から東京に出向きますが、到着早々に財布を失くし途方にくれていましたが、谷中にある滋賀県人が格安で泊まれる施設「東京近江寮」の管理人<鈴木安江>に拾われ、行き先がないということで声をかけてくれます。
わけありで、滞在している常連の宿泊客たちの身上を絡めながら、料理上手な妙子は宿泊客に美味しいご飯を作り、食べることを通して、彼らの人生に関わりながら、生き方を変えていきます。
タイトル通り滋賀県(近江)の郷土料理<赤いこんにゃく・鮒ずし・イサザのジュンジュン(すき焼き)・丁字麩・焼き鯖そうめん>などがいいわき役として登場しています。
退職で一度滋賀に戻った<妙子>ですが、また近江寮に戻り一般の人向けにも食堂を解放、自立支援センターで頑張る夫<秀一>の帰りをけなげに待ち続けます。
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