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- 今年の読書(56)『ダブルフォルト』新保裕一(集英社文庫)
新米弁護士のイソ弁である<本條 務>は、ある日突然、所属事務所のボス<高階徹也>から殺人事件の担当を任される。弁護するのは町工場の経営者<戸三田宗介>。金銭トラブルから金融業の<成瀬隆二>をペーパーナイフで刺殺し、翌日自ら警察署に出頭して殺人容疑で逮捕された事件です。
逮捕後、<戸三田>は<成瀬>から脅迫があったと語ったため、本條は殺人ではなく傷害致死の可能性も考え、<本條>は裁判の準備を進め、<成瀬>の金融業者の評判や悪質な手口を次々に法廷での証人尋問で暴いていきますがが、傍聴していた被害者の娘<香菜>が、「殺された父さんが、どうして辱めを受けなきゃいけないのよ。おかしいじゃない!」と叫びだします。
やがて<本條>は、<香菜>の嫌がらせを受けながらも、事件の真相を追い求める<香菜>との行動を通して、事件に隠された意外な裏側を知ることになります。
殺人事件を扱う法廷ミステリーとしてはもちろんのこと、弁護士事務所の実情、新米弁護士の現状と苦悩と成長の物語、さらには恋愛要素と、楽しめる構成でした。
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