< 安土城の模型(画像:滋賀県近江八幡市安土町小中・安土城郭資料館) >
戦国時代に<織田信長>が築き、豪壮華麗な天主を誇ったとされる「安土城」(滋賀県近江八幡市)の復元に向け、滋賀県が新年度から本格的な検討に乗り出します。全容の分かる資料がない「幻の城」で、海外の資料も調査してきましたが実を結んではいません。近年の「城ブーム」などを追い風に民間団体の再建熱も高まり、県は調査団の再派遣も視野に、名城復活への道を探ります。
「安土城」は築城から3年後の1582(天正10)年、天主が焼失しました。長年復元を望む声がある一方、城跡は国指定特別史跡のため、文化庁の許可を得るには建造当時の設計図や絵図などをそろえる必要があります。
そのため県と旧安土町は1984年、<信長>が天正遣欧使節を通じてローマ法王に献上したとされる屏風(びょうぶ)絵「安土城之図」を探す調査団をバチカンに派遣。その後も調査は続けられたが、発見には至っていません。
一方で全国的に城巡り観光が注目され、信長を討った武将<明智光秀>が主人公のNHK大河ドラマの2020年放映が決定。国も文化財の保護から活用へかじを切る中、県は経済効果が大きいとみて、復元の糸口を探ることにしました。
仮に屏風絵が見つかっても、耐震性の観点などから木造での復元は難しいとの見方が優勢です。そのため県庁内には、城跡に近く、かつ史跡指定外の場所に、信頼性が高いとされる復元図面で再建するのが最も現実的とする意見もあります。いずれにせよ巨額を要するため、民間と連携して可能性を探る方針です。
昨年、県に再建を提言した滋賀経済産業協会はコンクリート造りの場合、工費は300億円程度と試算。商業施設の併設も構想し「長期的に考えれば費用面はクリアできる」としています。
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