『時代革命』最優秀ドキュメンタリー賞@台湾の映画賞「金馬奨」
Nov
29
監督は5人の監督によるオムニバス映画『十年』(2015年)の中の1篇『焼身自殺者』の香港の<キウィ・チョウ(周冠威)>氏ですが、香港では劇場未公開作品です。タイトルは民主化運動のスローガンから採られています。香港当局による映画検閲の強化や、中国が制定した香港国家安全維持法(国安法)に基づく取り締まりを避けるため、<キウィ・チョウ>監督は自作品の権利を海外に売却しています。他の制作スタッフの名は安全上の理由のため、明かされていません。
2019年の「逃亡犯条例」改正案は、香港を中国の権威主義的支配に対する戦場へと変えてしまいました。本作は、その法案が提出されて以降の香港市民による抵抗運動を、その歴史的背景を踏まえつつ、最前線で戦う若者たちの姿を中心に描いたドキュメンタリー作品です。
2019年以降の抵抗運動は、「分権化されたリーダーシップ」、柔軟な戦術を意味する「水になる」、領土全体を使った運動を展開する「どこでも開花する」などの特徴や指針を持っていましたが、本作は役割やリーダーシップが分散化された運動家たちのいくつかのグループや個人を追い、この運動の多様な動きの全体像を捉えようとしています。
「金馬奨」は、中国政府の検閲に対抗する防波堤の役割を担うようになっており、中国や香港では上映が禁止される作品に贈られることが多くなりました。「金馬奨」は、特に香港で配給できない香港映画にとって自由な販路となっているようです。
2018年の授賞式で台湾出身の映画監督が台湾は「独立国」だと発言したことから、中国当局は2019年の映画祭ボイコットを中国人監督と俳優に指示。それ以来、中国本土の映画館と一部の広告主は「金馬奨」との関係を断っています。