ゴール
Jun
27
伴走船から方角の指示を受ける。
ゴール付近での写真はない。
シャッターを押せる状況ではなかったからだ。
ニヌハチームは、強豪「ハーインドー」をわずか20秒差まで追い込んでゴールした。
正直、少し残念だった。
しかし、昨日の午前中まで、誰がこの走りを予想できただろう。
このおんぼろチームが、ついに強豪チームを脅かす位置に上り詰めた。
5位でのゴールは、いかにも誇らしい。
既にゴールした艇の選手たちは、「なぜニヌハ2がここにいるの?」という顔をしている。----------
この3年間、このニヌハ2でレースに挑んできた。
ニヌハ2は、ニヌハ1を巨大なアウトリガーとした1戦目のスタイルから、浮力の少ないアウトリガー&低い座席位置の本体に身体を沈めるスタイルに変わっていった。
それは、サバニ本体だけで走るステップアップのためだ。
もちろん、レースに勝つという目的を前にしてそれは遠回りしているようにも思えた。
その間、忠さんとも何度も激論を交えた。
しかし、どうだろう。
5位という成績を残し、このスタイルの優位性を示すことができたのではないだろうか?今回、波にもまれながら感じたことは、もしアウトリガーが無かったら、「もっと走りやすいのにな」と言うことだった。
アウトリガーが波に飲み込まれるたびに、船首方向が変わる。
その苦労は皆無になるだろうと言うことだった。
実際には、そんな楽な話ではないことは理解している。
しかし、「そろそろアウトリガーを外してみたい」という感覚が芽生えてきた。
僕のイメージする古式サバニは、軽くヒールさせた船体が滑るように進む姿だ。
エイクのひとかきが、今の1.5倍ほど船体を滑らせるイメージだ。
上手く操れば、そうそう転覆するものではないと信じている。
昔の人はそれで漁をして、魚を運んだのだから。
僕らニヌハチームの挑戦は、まだまだ続く。
-----------表彰式で僕の目に浮んだ物は、レースの結果に満足した涙ではない。
この仲間たちと、次なるチャレンジへ進める喜びの涙だ。