「青華菖蒲画花瓶」である。これの黄色の背景は釉薬の色、すなわち、黄釉で、染付で菖蒲が描かれている。実は、眞葛博士さんによると、眞葛の黄色の釉下彩ものでも、箱書きには黄釉と書かれているものがあるそうだ。私は宮川香山が黄釉と黄色の釉下彩を同じものと表記するとは考えられなかったが..
そして、現在、東京国立博物館にある「黄釉銹絵梅樹文大瓶」も眞葛博士さんによると釉下彩だというのである。これは、1893年にシカゴ万博に出品され、現在、重要文化財になっている。これは、とても信じられなかったが、私はこれの背景の色が黄釉か釉下彩かどうか、じっくりと見たことがなかったので、反論できなかった。
しかし、家に帰り、東博のwebpageにある写真をアップにし、じっくりと見て、やはり、黄釉であると判断した。もちろん、東博のwebpageには、黄釉と解説している。それと、フェルグソナイトを用いて飛鳥井孝太郎が名古屋で黄色の釉下彩すなわち、アスカイ黄を発明したのは明治29年、すなわち、1896年である。眞葛の後期における黄色の釉下彩もこのアスカイ黄を使っているはずであり、1892年時点では黄色の釉下彩を出すのは不可能であったはずである。
まあ、眞葛博士さんを少し弁護するならば、おそらく、眞葛の黄釉は厳密に言うと黄色の上絵具と思われる。すなわち、素地に黒の下絵具で梅を書き、一度透明釉を掛け焼成し、さらに、その上に黄色の上絵具で塗って、もう一度高温で焼成していると思われる。こうすることによって、黄色の上絵具が透明釉の中に沈み、あたかも釉下彩のように見えるのである。すなわち、イングレイズ(釉中彩)のテクニックを使っていると思われる。そうでないと、白抜きの梅の花の部分の透明釉をいつかけているか説明ができない。
どちらにしろ、断定はできないので、とりあえず、一回東博にいって、じっくりと自分の目で確かめる必要はあるかな。
東博のwebpage 「黄釉銹絵梅樹文大瓶」を貼っておきますので、皆さんも見てください。
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Posted at 2012-05-07 08:06
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Posted at 2012-05-09 05:47
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Posted at 2012-05-07 17:41
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