1878年の第3回パリ万国博覧会で建造されたトロカデロ宮である。この建物の中心に音楽を演奏するための大きなコンサートホールがあり、以後、1889年の第4回および1900年の第5回のパリ万博のコンサートで使われることになる。すなわち、ドビュッシーやラベルもこのホールで音楽を聴いたのである。このコンサートホールは音が悪く、結局、1937年のパリ万国博覧会では取り壊されたらしい。1871年に建設されたロンドンのロイヤルアルバートホールは、やはり音が悪いが取り壊されず、今やロック音楽の殿堂となっている。エリック・クラプトンが所属していたクリームの伝説的な解散コンサートはこのロイヤルアルバートホールで行われた。
毎年、学生に「コンサートホールの変遷」を講義しているが、芸術の都パリに、19世紀末に造られた大きなコンサートホールが存在しないのか疑問だった。これで、すっきりした。
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