タルレガ先生、ごめんなさい!
Feb
7
皆さんの演奏が終わったあとで、若いプロの演奏家が一人招待されて演奏をした。どうやら、このお兄さんも、師匠から新年会でちょっと弾いてくれというノリで頼まれ気楽に来たらしく、かなり緊張していた。
彼は、皆が演奏した曲とダブらないように気をつけながら何曲か弾いた。最後12分くらいの長めの曲を弾こうということになったとき、師匠から、時間がないのでもうちょっと短い曲にしてほしいというリクエストが入った。
彼はちょっと考え、そして、目の前に座っていた私を申し訳なさそうに見て、なんと「アルハンブラの思い出」を弾き始めたのである。
演奏が最後に近づいたとき、違和感を覚えた。
なんと音が違う。
家に帰って、譜面を見て確認した。そう私はファの音を半音低く(写真の○をつけて矢印で示している箇所)、18年近く弾いていたのである。この曲は、誰かに習ったわけでもなく、クラシックギターに大分慣れてきたときに、トレモノの練習をと思い、自分で譜読みをしながら弾き始めた曲である。ちゃんと人前で弾いたことがない。だから、間違えていても、だれも注意してくれないのでしかたがない。
ショックなのは間違えていたことではなく、実は、ここ1ヶ月間何度か弾き直しても、今まで自分で弾いていた方がしっくり来るのである。
このファを半音下げて弾くと、ちょっと不安であぶない感じがして、次に2回繰り返すところがとてもいい感じに収まるのである。譜面通りに弾くと、あまりに完全すぎてつまらない。
最後だから、さっと弾くべきところなのだろうけど、18年間正しいと信じて弾いてきたのだから耳が受け付けない。逆に、このファを半音下げるところに「アルハンブラの思い出」の良さがあるなどと勝手に頭が納得しようとするので性質が悪い。
まあ、もう人前で弾く機会もないと思うので、自分の思うように弾こうと決心した次第である。
タルレガ先生、ごめんなさい!
Posted at 2008-02-07 19:36
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