今、何時ですか その前に今日は何月何日ですか 今、何年ですか 此処はどこですか それに私は誰ですか あなたは誰ですか なんだか落ち着かないのですが 今、何時ですか どうして あなたは笑っているのですか 私に何かご用ですか 今、何時ですか どうしたのですか 私 今、私は誰ですか 私、何時ですか
僕が歩くと 「もっと胸を張りなさい」 大人に言われた 空を見て歩くと 「しっかり地を見て歩きなさい」 違う大人に言われた 下を見て歩くと 「前を見て歩きなさい」 違う大人に言われた 泣いて歩くと 「泣くんじゃない」 違う大人に言われた 大人は誰も 「どうしたんだい」 と言ってくれない
カレンダーはヤバい この言葉はダジャレの宝庫だから ああ、言ってしまいそう 我慢、我慢、ここは我慢だ 空気が凍ることは知っているし しかも詩なのだから絶対に言っては駄目だ ……でも詩は自由なはずだ ならっ ダレンダー ボクンダー オレンダー キミンダー そしてカレンダー 五人揃ってダジャ連打ー!
旅に出ました とっても寒いです こんなに辛いなんて 思わなかったのです そして寂しい 僕はこの旅で 辛い時に 助けを求める 人間になれると 思ったのですが 変わりません 旅に出て 景色が変わっても 僕はそのままです 変わりたいと思う 気持ちが大きく なっただけでも 意味があったと 思いたいです 雪が落ちてきました 誰かと話したいです
真っ直ぐに進んだ光が ベンチに座る僕の足を温め 幸せは青い空に浮かんでいる 任せる気楽さは自分を知っている 日々の荒れた呼吸も忘れ この連続が生きている波の模様として 大切な時間は大切にしたい思いも 大切にされたい思いもなく ただぷかぷかとした微睡む心地よさ 帰るところは忘れやしない 真っ直ぐな光に誘われ 僕はどこまでも白くなる幸せ
バイクで北へ そして怪しい旅館に泊まる ああ、ここは駄目だ 俺の精神に入り込む怨霊のにおい もう風呂に入らず寝てしまおう 恐怖よりも疲労が 優っている今のうちに 顔だけは洗いたい 暗い洗面所の蛇口をひねり 水に体温を感じる ふと鏡を覗くと この世の顔ではない俺がいた
とある詩の月刊誌は、ほぼ詩や評論、座談録で編成された本。他の月刊誌はすべに詩以外の記事が多くなっている状況だ。詩だけで勝負しているその本の定期講読数は七百数十冊という。書店で購入された本も千冊を下る。二千冊を発行しても余る状況だ。利益はないのかもしれない。いつ廃刊になっても不思議ではない。詩集を手掛けている出版社だからなんとか発行しているのかもしれない。……かもしれない。 何を語っているのか、わからないと言われる現代詩という括りを消して、詩がもっと自由になり、様々な視野を広げる時がすでに来ているのかもしれない。
最初は勢いよく時間を踏み込み 躓き転び瘡蓋を弄る 疲れ知らずの童謡は タラッタタラッタ晴天の行進 綻ぶ日々に一段飛ばし二段飛ばし 螺旋階段を上る事に疑問を持つ 上下左右を確認しながら 風の中で自分の位置を知る 狼狽え進む時間が回り出し 観念と足掻きの二重螺旋を行く 人事を尽くし粉にする身 堅実に我以外の為に息を吐き 幸福の意味を咀嚼し始める 未だ見えずの日々も陽が差し 足の限界に手摺りを掴み目指す 一段一段の含意が浸透する 螺旋階段をただ上がる事に消す不安 天を目指す顔は美しく皺皺 連なり進む列を和ませ 時間に強かさを得て天辺へ
四畳半の部屋に ひび割れたカラーボックス ガムテープで貼り 贅沢の真逆を行く頑固 家を飛び出した空間には 縛られない自由と途轍もない孤独 その双方が膨らめば膨らむほど 詩作品が収まる テレビもラジオも本も要らなかった 紙とペンとカラーボックス そんな日々を確かに生きた