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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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“ # ” のついたタイトルはツイッター詩(140文字以内)

雲の上

thread
ほんとうに天国に居たんだね、ナナ
おいおい、そんなに喜んで飛びつくなよ
地上に落ちてしまうぞ
ナナ、ずいぶんと若くなっているな
すると俺も若くなっているのか
ほうほう、手のシミがなくなっている

おっとと、足元に茶々がいるじゃないか
相変わらずスリスリして
あんな事故でここへ来ることになって
ゴメン、許してくれるか

おおっ、父ちゃん
ずいぶん足どりも良く歩いているじゃないか
病室で俺が
もういいよ、楽になって
そう言ったら眠るようにこっちへ来たんだね
なんてことを言うんだ親に向かって
と、怒っているかなと思ったりしていたんだよ
笑っているね、父ちゃん

ああ、ここが天国なんだね
新入りの俺だけどよろしく頼むね

#詩

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ブーメラン

thread
自分が嫌いになった時
どうにもこうにも立ち上がれない

でも自分が嫌いになった正直さは
けして悪いことではないと思う
ひとりでないという証拠だ

あれもこれもそれも
敏感に反応してしまうが
無理に自分を好きになるよりも
嫌いな自分に慣れながら
#詩

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#シーラカンス詩

thread
この環境はいつまでも変わらないようだ
それなら陸に上がることもないか
やめよっ、居心地いいし
ずっとこの姿で生きてゆこう
笑う奴もいないし

おおっ、海底にあるコイツはなんだ
硬くて見たこともない感じだな
SPAMって書いてある
なんじゃこりゃ
まあ、俺たちには関係ないか

#詩

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#南極詩

thread
歩道にゴミが落ちていて
捨てる人と毎日拾う人がいる
自分さえ良ければという汚れた心
皆んなが良ければという拭う心

深い海の底にもゴミあって
南極大陸がゴミ大陸になって

地球のゴミは人の心を表している

#詩

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意見

thread
ひとに意見を言うのは難しい
自分の伝えたいことと
伝わることが違ったりする
どれだけひとを理解しているか
どれだけ自分を理解しているか
ひとと自分がいれば社会ができる
お互いの気持ちが
わかり合った社会がいい
ひとのために自分のために
勘違いされ勘違いしながらも
意見を言い続ける

#詩

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#美容室詩

thread
中学生の時
ストレスで髪が白くなり
美容室へ染めに行った

待合室にはファッション雑誌が並ぶ中
『ぼくは12歳』という本があった

表紙に「ひとり ただ くずれるのを まつだけ」
と書いてあった

自分も12歳で詩を書いていた
中を開かなくても分かった

美容室でその本を借りて帰った

#詩

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#百円玉詩

thread
自動販売機で使えない
100円玉があった
数字の左右にシマシマ模様があり
丸みのあるデザインで好きだった
自動販売機の表示に
この100円玉は使えません
と、絵にバツがつけられ
いつの間にか消えた100円玉

そんな話を休憩時間にすると
いつの時代ですか、と言われた……

#詩

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冬の出勤

thread
まだ暗い空気に白い息が逃げる
指先、足先、首筋から冷気が握り始め
頸、腰へと私の弱い所へ進む
今朝の励ましは何処に落ちているだろう

昨夜、小説家が愛国精神を持ち政治活動の末に
自決する映画を観ていた
空白な疑問と後味の悪さを引きずり
車窓から薄明るくなり始めた光と陰を追う

子どもの頃、戦争の話を聞かされた翌朝のように
強制された重い苦味を覚える

エスカレーターで下り滑って行く
銀世界のスキー場のゲレンデには若者がポーズ
宣伝ポスターに気を紛らせながら思う
私は国を愛したことがあるだろうか

#詩

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冊子作り

thread
冊子作り 冊子作り
冊子作りの練習。
綴じ方はオリジナルに挑戦!
#詩 #雑記

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1DK

thread
元住吉に親戚がいた
おばちゃん、兄ちゃんが三人、姉ちゃん二人がいた
私は子どもの頃、電車に乗って
おばちゃんのアパートへよく遊びに行った

おばちゃんはいつも内職をしていた
子どもが五人もいて
その指を触るとゴチゴチと皮が厚く
私は子どもだったが凄いひとなんだと思っていた

一番上の兄ちゃんは
小学生だった私にパチンコを教えてくれた
左手から玉を流し天釘の狙う場所まで
公共賭博の英才教育を受けた
タバコをくわえ龍のスタジャン着た
兄ちゃんと歩くとひとが避けて行った

二番目の兄ちゃんは
いつも紺色のジャージとTシャツを着て体育会系だった
近くの高校へ行くと高鉄棒にぶら下がり
兄ちゃんが懸垂をすると筋肉が凄かった
私がグライダーで鉄棒から飛ぶと
兄ちゃんは片手で遠くに飛んでいた

三番目の兄ちゃんは
神経質で胃が弱くよくお腹をおさえていた
土日に映画館でアルバイトをしていて
無料券をくれるので映画を観に行くと
コカコーラを奢ってくれた
怒ったことのない優しい兄ちゃん

一番上の姉ちゃんは
なんだかお母さんみたいで
仕事と家事で毎日が忙しそうだった
分厚いレンズの眼鏡をしていて
博学だし姉ちゃんの言うことはみんな反論しない
そしてすでに一家の大黒柱だった

二番目の姉ちゃんは
なんだかいつも化粧の匂いがしていた
姉ちゃんに遊んで欲しかったけど
家にいることが少なくあまり遊ばなかった
だけど雨の日にアスファルトの上を
裸足になりふたりで歩いたのがとっても楽しかった

狭いアパートにみんなが暮らしていた
一番上の姉ちゃんと兄ちゃんだけが
父ちゃんを覚えていると言っていた
突然に父ちゃんは家を出て行ったらしく
それっきりだったと言う

悔しい思いをたくさんしてきたと思う
だけど歯を食いしばりみんな頑張って
笑顔を絶やさずに賑やかな
おばちゃんの家が好きだった
狭くてごちゃごちゃしていたけど
楽しい想い出は今でも私の宝物である

#詩

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