夜に咲く花は 俯きながら 眠ってしまった 咲く意味を 考え過ぎては 疲れたのだろう 夜に咲く花は 眼を閉じず 眠ってしまった 話し掛けても 言葉なき物語の中で 孤独を見つめ 夜に咲く花は 心を置いて 眠ってしまった 固まったカラダ 其処にいるようで 何処にもいない
抜け出しだ暗闇から どこまでも広がる青を知った たくさんの手が方々に出て 風を抱きしめているつもりが 風に吹かれていたことも知った それ程までに僕は小さかった 悲しみのお別れも知りました 手元の生きる瑞々しさを吸いとられ 枯れて僕のもとから落ち それは頬をすべる涙のように どうしようもなく切なくて だけど僕は生きて行く 自然に添っていると気付き 救われることを知った 無力なのは仕方ないと諦めた そんな時代もあったが 今は心持ちが少し変わって…… 僕は僕なりにこの景色の中で とっても小さい存在だが 青に向けて語れば語るほど たくさんの手が広がり 成長を続けることを知った 喜ばしい自然の中で 景色であることの誇りを持てば どこまでも大きくなることだろう そして いつの日か小さな役目を果たし 静かに朽ちて行く喜びを知るだろう
賑やかだった教室にも 柔らかに落ちゆく陽が射し ひとり僕は窓の外を眺めている いつもの校庭 若葉も紅く染められ 春だというのに暮れてゆく音楽が 聴こえてくる不思議に 僕は此処にいることに溶けて お疲れ様でした 運動部の声が家路へ誘う カバンを背負い教室を出て 階段を降りる足音は 冷たく静かに癒してくれる 校門には君がいて 胸の前で小さく手を振り微笑む 僕は右手を軽くあげ 上手に微笑む顔を探している 何していたの遅かったね 少し怒った感じだけど 嬉しそうな表情で君は僕の顔を覗く ごめんね なんだか窓の外を眺めていたら…… よくわからないけど帰りましょう 君の細く温かい指が絡まり 僕と君も窓の外の景色になってゆく
詩を書く時 私の感情は方位磁針となり ひとつの昂りを指す 喜びの赴くまま 揺れ 怒りの赴くまま 尖り 悲しみの赴くまま 凹み 不安の赴くまま 撫で 不思議の赴くまま 旅し 勇気の赴くまま 堅く あるがまま 感情を紙面に泳がせ 方位磁針の先に自由を獲得する 感情の物語を 表現する喜びを知ってしまったら もう書かずにはいられない その発する言葉の 止め方などもう誰にもわからない
束の間の安堵 今日、戦争が始まってしまう そう感じていたから 電車の中では 危機感のない顔が並び どうして周りの人がそんなに 落ち着いていられるのか 不思議だった そんな自分も 仕事へ向かっているのだから 大丈夫だ、戦争なんて起こらない 心のどこかで精神のバランスをとって 小さい頃に 戦争の話を身内から聞いたり テレビなどで悲惨な映像を見ていた それが夢でうなされるくらい怖くて 虫けらのように殺される 次は自分が、と 大人になってその恐怖は 遠いところに行ってしまった しかし再び日本に 黒い空が包み込もうとしている もし自分の守るべき家族が…… そう思うと 小さい頃、感じていた恐怖に さらなる絶望を載せ襲ってくる ボタンがひとつ押されれば すべてが終わってしまう可能性 核ミサイルの脅威 ボタンを押すために核ミサイルを 造ったわけではないだろう 自国に打たれないため、権威を保つため 脆弱な均衡を保ってきたというのか 何かひとつ狂ってしまえば…… その時が今日だと予感した 嫌な予感は外れ 胸を撫で下ろしてはみたものの…… 帰りの電車も 危機感のない顔が並んでいる 今日という日が きっと世間では平和に流れたのだろう そして 私の嫌な予感は続いてゆく 明日かもしれない、と
いいよ 君のその言葉はラヴではない 僕に対する優しさだった 何度も抱いてしまいたい そう思っていたけど 水を被ったように冷めてゆく 君の優しさは鋭い棘 僕のエゴは鋭い棘 重なり合ったのなら 傷だらけになるのだろう 一瞬で理解したふたり 僕でなくてよい君 君でなくてよい僕 でも そんなに単純ではない 傷だらけになりたい僕と君 そして その傷を慰めあいたいふたり ……そこが ふたりの始まりだった
とりあえず布団には入っていた 右足の靴下を履いたまま 少し横になっているつもりが 夕飯を食べてすぐに寝ていたようだ すこし早い目覚めに 日々のするべき行程をいくつか飛ばす とりあえず歯を磨き顔を洗う もう片方の靴下を探しながら 大事なことをひとつ思い出し慌てる ごはんの炊飯タイマーをしていない そんなわけで早炊 休日にチャージした体力を 月曜の一日でずいぶんと使ったようだ しかし 今日の睡眠は質が良かった 頭は軽いし首腰の調子も悪くない 詩も日記のようにすらすらと よしゃよしゃ たまにはこんな日も良いもんだ 普段はそんなに早寝は出来ないが 睡眠は日々の活力源 しっかり確保せねばいかんなあ 一日が三十時間あったら なんて思うことがあるのだが 二十四時間で上手くやって行こう
フィクションは想像内 現実の想像できないところに 天才が存在する 自分だけの集中世界 とても純粋に駒をさすことに 時間を示さない時計を持ち 終わってしまえばあっという間 歓喜の声が聞こえ 天才だと賞賛されても 天才に天才という概念などなく 人と人を比べるような 感覚など微塵もないのだろう 世間の度肝を抜く 集中力は夢を見せてくれる その生き様から輝きを放つ 見守られる環境の中で 誰でも持っている可能性の追求と 雑念のない集中世界の中から 天才は世間の想像を超えてみせる
僕らに望まれているストロークは 宇宙が拡がる速さより 高速な思いで愛を知ろうとすること グズグズなんてしてられない なあ、そうだろ青春 メジャーコードで惑星なんて砕いて そこどけそこどけ 誰にも止められないのだ もう響いて痺れているんだから なあ、そうだろ青春 ボーカルの吸い込みは ブラックホールを飲み込んで 諦めるなよ その言葉を吐き出すんだろ なあ、そうだろ青春 繋げや繋げや君と僕を ベースはウナウナと過激に 異物な立体感の拳は鋼より硬いぜ なあ、そうだろ青春 ちっぽけな孤独なんて 君と僕が出会い 溶け合うものなんだろ 今を超感じて生きて行くんだろ なあ、そうだろ青春