渋谷の空に流れる雲 それ以上に俺は速く流されている 交差点の人混みで 交わらない視線は それぞれの人生が真っ直ぐと ひとに在るものが 俺には無いように思えて 劣化してゆく勢いは強くなる やっと辿り着いた向こう側 息が上がり しゃがみ込んだアスファルト 振り向き歩くひとから感じる疎外感 俺は歪んだ視線で ひとの顔色を気づかれないように 見ることぐらいが今の精一杯な生き方 それでも 逃げ込む空の無い日はなかった 単純、単色に思える空へ仰ぎ 様々な答えを用意をしているかのように なぜ白い雲の流れはとても自由なのか
校舎のベランダにいて 僕は最後の日を考えている 希望なんてもうないから 待ち合わせの場所もないし 時間もないのだから 君を眺めることくらい 許して欲しい みんなより短い命の宣告 怖くてしがみつきたいけど 何処に誰にどうやって 飛び込めば楽になりながら 僕は無くなれるのだろう やっと見つけたけど 君の空から僕は消えた雲 死なないで、と君の魂が言う だけど僕を忘れて欲しい 最後の願いで距離をおいて 正直にわからないんだ 経験のない最初で最後の死 死にたくない、と叫びながら 僕は消えたくはない 嘘をつくほど悟れるわけもなく 許して欲しいことは 君に気づかれず微笑みを できる限り多く眺めることさ 君の涙を見たくない僕 大好きな君を悲しませたくない僕 間違いは僕に無くなってゆく
仕事をしている たしか出勤してはいけない ことになっているのに 誰かに言っている 「今日、職場に来ては いけないのに間違ってしまった」 しかもその話をしている場所が 四十年前に通っていた 小学校への通学路で神社の前だ 私の声は無機質な人間に聞こえず ひとり空回りしている 光が瞼を刺激する 今は朝か昼なのかさえわからない 悪いことをしている訳じゃない だけど罪悪感は正直に 正確な心理の夢を見せてくれる 仕事を休みたい そう思ってみることは多いが 私ひとりの負担を誰かが補う仕事 やはり迷惑を掛けることを 申し訳ないと日本人の血が淀む 病気と言う理由で一週間 何に追われ過ごして行くのだろう なかなか両手をあげて喜ぶ 休暇とはならない なんて器の小さい私なんだろう
気持ちのコピペをして なんとなく言葉遊びのような 詩ばかりを書いてしまい ヘンテコな詩だ、と言われます 役立たずの詩で まったく意味がないのかなあ そう思っても書かずにいられないので ずっとやめれないようです やはり自分がいますから 僕のことを書いてしまいます たまに飛躍し想像の中で 超人になったり寂しがり屋になったり そんな感じで精神のバランスをとり 滑稽な表現になることもしばしば 幼い頃から変な子だと言われましたが それを僕の武器にしていこう、と 今でも詩を書いているわけです そして最近、発見をしたのです 世間ではもっともっと ヘンテコな詩を書くひとがいて そのことで安心したり勇気をもらったり 詩の世界はとっても広いのだと 僕はまだまだと思っています 言葉が自由になっていませんが 詩は元気の源ですから ヘンテコな詩を書き続けています *コピペ(コピー&ペーストの略)
父ちゃん バイクの納車なんだけど その店がさあ 国道沿いにあって 教習所上がりの俺じゃ無理かな それは父ちゃんがバイクに乗って 家までとりあえず て、やつか ああ、いいよ おっとと それにしても二十五年くらい ご無沙汰しているなあ 準備体操しておこう 足をつってしまいそうだし 実際にまたがって 走り出すと右足をつり 足を伸ばしたまま走行 そして最初の左折で 膨らみながらなんとか曲がる 少しずつ 右足をステップに近づけ ブレーキのステップに寄せる よしょ これで完全体になったぞ しかし なんなんだこんな時に 大粒の雨が落ちてくるし メガネは曇り出すし さあ 転んでくださいの 条件は整った バイクは散々乗ってきたわたし こんな時は減速なんだ マンホールも 滑るから気をつけよう アクセルを回すと素直に エンジンが反応する 思い出すモヤっとした 若き日の 反骨精神やらやるせなさ ああ やっぱり歌っちゃうな 盗んだバイクで走り出す 行き先もわからぬまま…… 自由になれた気がした五十の夜
おっと 寝坊をしてしまった 慌てて着替え 寒さもそう感じずに 電車へ走り込み とは言うもの 歳は重ねるものだ 電車の中で 気持ちが急いでも 速く走ってはくれない それなら 詩でも書こうじゃないか そんな図太さも いつのまにか身につけ そして こんな時に限って 降車する駅を過ぎてしまう いえいえ大丈夫 歳は上手にとりましたから おっと こりゃ間に合いそうだ てへっ
襟足より冷たい奴が 油断の隙間から入ってくる 今年の冬も防御しきれず 咳き込んで 最高気温が一桁の数字 ゾクゾクと身体が震え 手足の冷たさを再確認して 寒くても半ズボンを 履いてたころが嘘のようだ 子どもは風の子 元気な子 大人は部屋の子 元気のない子 毛糸の帽子をして 手袋をはめマスクをする 冬の外は厳しくて 自分が誰だか わからない姿になって 今日も歩いている
人生初めての評というものを書いてみました。今回はどちらかというと感想を述べた感じで。投稿された作品を読み込んで私なりに表現しました。なかなか勉強になることばかりあり、良し悪しは置いといて詩に関わったという充実感ありましたね。 投稿された方が「もっと詩を好きになれるよう」をモットーに、精進して作品を読み込んでいこうと思っています。 評を書くというプレッシャーはありますが、いざ作業に入るとこれがなかなか詩を書くことのように集中していて、楽しい作業であることに気づく。有難い機会を頂いて感謝、感謝です。 先輩詩人に読者は、評を書いている人の気持ちはわかりますよ、とアドバイスをもらっていましたので、平等と冷静、平常心をもって真摯な気持ちで対応できたと思います。 いや〜、とりあえず第一弾は放った。再来週、第二弾がやって来る。どんな作品が投稿されるのか、とっても楽しみです!
自分はいつも正しくて わがままは膨らみ 僕は部屋から出れなくなった ご飯が廊下に置いてある ひとりでは 何もできないクズ野郎なのに どうすればいいんだ これで生きていると言えるのか 外に出れば怖くて ひとの視線が僕を馬鹿にする ほんとうは僕 風を感じたいんだ つい数年前まで風に吹かれ 笑っていられたのに どうすればいいんだ 外に出れば 今の僕はどうなってしまうのか 怖い 自分が怖い だけど新しい僕には会いたいんだ 風が窓を叩いている