《 雅羅・/・襍録〝奇っ怪・葉〟❖ ’24-160 ❖ 》

ハンゲショウ(半夏生) ドクダミ科(Saururaceae)
学名:Saururus chinensis (Lour.) Baill.
別名:カタシログサ(片白草)、サンパクソウ

下の画像は、葉の変化状態(2024/06/01~08)。
《〝化粧する葉!?!〟“泉の森・湿性植物園 ”2024/06/08 6月草花Ⅰ 》
水辺に白い根茎を伸ばし這い群生する多年草。茎高は、50〜100cm。
葉身は長さ6〜17cm、幅4〜9cm、5〜7脈あり基部は耳状心形。
花どきに花序に近い葉の下半分が化粧をしたように白くなる。
これは、あまり目立たない花の代わりに昆虫を寄せるため、と云われる。
同じ様に葉の白くなる植物、日本ではマタタビやミヤママタタビがある。
一枚の葉っぱ全体(裏表)が白くなるのではない。
葉の表面(おもてめん)の半分ないし三分の二くらいが白色に変わる。
花は,茎上部の葉腋(ようえき)から出ている尻尾のような穂状花序。
花は長さ10〜15cmの細長い穂を作って多数つく。
穂は初め下垂し後立ち上がる。花は両性で小さく、花弁はない。
雄蕊6〜7個。子房は3〜5個の心皮があり毛はない。
カタシログサ(片白草)の別名もある。
6月上旬:つぼみがあがるのと同じ頃に葉の基部が白くなり始める。
6月下旬:花は満開、葉の白く変色した部分は最も広く白さも際立つ。
7月下旬:種が出来始めると葉の白さもぼやけ始め、次第に緑に戻る。 
ハンゲショウ(半夏生)の名由来は、
夏至から11日目を半夏至と言いその頃、花が咲く事による。
花の頃、上部の葉が白くなりことで半化粧ともいわれる。
ドクダミ同様、臭気があり、湿性ある場所に生える落葉性植物。
*     *    *    *    *
ハンゲショウの葉について;
ハンゲショウの葉は苞葉、昆虫を引き寄せる効果を担っているとか!!
葉が白いのは葉緑素がでていない事による由。
白い苞葉だが、裏面を見ると裏側の組織は緑で表側の組織が白い。
実の時期になるにつれ葉緑素が出て来る不可思議さ、驚きだ。
白い時も緑の時も、細胞の中に葉緑体に当たるものは存在している、と。
何処か完全な葉緑素を溜めて、後で出す。凄いシステムと感心してしまう。
柑橘類の橙、緑の若い実が冬に橙色に熟すが、放置すると翌初夏に緑に戻る。
このように植物は、緑の色を作ったり抜いたりと、さり気なく行っている。
ハンゲショウでは花序の根本の4~5枚の葉が白くなる。
半夏生の頃、白い葉を出す(苞になりきれていない葉)。
葉の表側だけ白くなり、葉の裏は薄緑色。
おもて葉の表皮の下に柵状組織として葉緑体ができるのが遅れる仕組みだ。
花が出来る時だけ花の付け根部分の数枚だけ、白い葉になる。
昆虫に対しての目印、呼び寄せるための施策のようだ!!
受粉を補助する働き、即ち送粉を助ける働きをしている。
送粉者(昆虫等)を引き付ける働き、ハンゲショウ花は3~4mmと小さい。
穂状になっても目立たない形態を補っているとしか思えない。
ハンゲショウの葉が白くなる要因は、二つ云われている。
一つは葉の構造が変化して空気を含んだ状態になり、光を散乱させている。
今一つは、色素が抜ける、と云われているのだが、、、。
空気を含んで白く見えるのはマタタビなどに見られる現象。
ハンゲショウは、“色素が抜け落ちる”方だろう。
しかしハンゲショウは葉一枚全てを白くしているわけではなく、
葉先や裏側に緑色が残っている。一方、葉の表の向軸側は白い。
このことから光を受けやすい部分が脱色しやすいと考えられる。
だが何故にそうなるのか、わざわざ葉を部分的に白くするのは??
*     *     *
葉腋に花または花序をつける特殊化した葉のことを苞葉 (bract leaf) といい、
集合体として苞 (bract) とよばれる。
花を抱く葉でも普通葉と変わらない場合には苞葉とはよばない。
またアブラナ科の多くのようにそのような葉を欠くグループもある。
苞葉は、そのつく位置によって、総苞、小総苞、小苞に分けることができる。
花序の基部にある苞葉のことを総苞片 (involucral scale) といい、
集合体として総苞 (involucre) とよばれる。
キク科やマツムシソウ科の頭花 (頭状花序) における総苞片は明瞭であり、
その配列や特徴は重要な分類形質になっている。
また特殊な総苞片としては以下のようなものがある。
殻斗 (cupule, cupula)ブナ科では多数の総苞片がその軸と共に合着し、
殻斗とよばれる椀状の構造を形成することがある。
いわゆるドングリの"はかま"がこれにあたる。
クヌギなどでは合着が不完全だが、シラカシなどでは完全に癒合している。
仏炎苞 (spathe)サトイモ科では肉穂花序を包む1枚の総苞片がよく目立ち、
特に仏炎苞とよばれる。
ミズバショウなどでは仏炎苞が花弁の代わりに花粉媒介者の誘引に役立っている。
ドクダミ (ドクダミ科) やヤマボウシ属 (ミズキ科) の花序の基部にある4枚の大きな葉や、
トウダイグサ属の花序 (杯状花序) の杯状体などもよく目立つ構造で総苞片とみなされる。
これらの葉は目立つ色形をしており、
花弁の代わりに花粉媒介者の誘引に役立っている。
ただしこれらの葉には腋芽がつくので、厳密には総苞片ではないとする意見もある。
サトイモ科の仏炎苞やドクダミ (ドクダミ科)、ポインセチア (トウダイグサ科)、
ブーゲンビレア (オシロイバナ科)、ヤマボウシ属 (ミズキ科)、
此等の総苞は大きく派手でよくめだち、
かわりに通常の花弁が退化的もしくは欠如している。
これらの総苞は機能的には花弁のかわりを果たしているものと思われる。
多くのセリ科のように複合花序をつくるものでは、大花序の苞のことを総苞、
小花序の苞を小総苞 (involucel) とよぶ。
小総苞の構成単位が小総苞片 (involucel segment) である。
イネ科の小穂は小花序であり、
その基部にある1対の苞穎 (glume) は小総苞片と見なすことができる。
個々の花の基部につく苞葉のことを小苞 (bracteole, bractlet) という。
小苞葉は双子葉植物では2個、単子葉植物では1個のことが多いが、
その有無や数には変異も多い。
スゲ属 (カヤツリグサ科) の果胞 (perigynium) は特殊化した小苞と考えることができる。
単子葉植物において、花序に腋生する有鞘葉を苞鞘 (苞鞘片 bract sheath) という。
球果類において、胚珠をつけた種鱗 (seed scale) は苞鱗 (bract scale) の腋についている。
苞鱗も特殊化した苞葉と見ることができる。
以上、検索してみると興味は尽きない。底なし沼!?!
季節的・局所的に葉の白化現象、生態学的解説を探してみると、、、⇩。
*     *     * 
ハンゲショウのフェノロジーや群落の構造を調べ、白化現象の季節性・局在性について。
1,白化した葉と白化しない葉の生理的な特性の違いを調べ、
        白化現象が光合成へ与える生理面での影響を調査する。
2,受光量と光合成速度の測定結果から、
        白化現象が光合成による物質生産量へ影響を推定し、
        それがハンゲショウに与える影響を調査する。
<方法>茨城県菅生沼上沼付近西岸の湿地に生育するハンゲショウ群落を対象として調査。
5 月2 日に15 本のシュートをマーキングし、
草丈・葉数・白化現象の有無・花序の様子を追跡調査した。
また、群落の葉群構造を把握するため、
ほぼバイオマスがピークとなる 8 月の上旬に層別刈り取りを行った。
4 月 11 日から連続的に、ハンゲショウ群落内の気温・地温・光量子密度の測定を行った。
菅生沼の調査地から 4 月 11 日にハンゲショウの地下部を採取し、
筑波大学陸域環境実験センター内の温室にて栽培した。
携帯型光合成蒸散測定装置LI-6400 を用いて白化した葉と白化しない葉の光合成能力を測定し、
光-光合成曲線を作成した。受光量と光合成速度のデータを、
群落の物質生産を記述する門司‐佐伯数学モデル(1953)に入れて光合成による物質生産量を推定し、
一部の葉が白化した場合と全ての葉が白化しない場合を比較した。
<結果>フェノロジーを調べた結果、
6 月終わり~ 7 月初めにかけて茎先の一部の葉が白化現象を起こし始め、
9 月終わりまで徐々に緑色に回復するという、白化した葉の動向が明らかとなった。
また、花序の出現時期と葉の白化現象の始まりはほぼ一致していること、
そして花序の出現する近傍で白化現象が起こる傾向のあることが明らかとなった。
また、全てのシュートが白化現象を起こすのではなく、
花序をつけない場合に白化しない傾向も見られた。
さらに、葉群構造を調べた結果、
白化現象を起こす葉の割合は葉群全体の約 0.4%に過ぎないことが分かった。
白化する葉と白化しない葉の光-光合成曲線を作成し、
近似曲線(Pmax ( 1 - exp( - f I / Pmax ) ) - R )のパラメータを求めた。
ただし、Pmax:最大光合成速度、f:初期勾配、I:光強度、R:呼吸速度。
その結果、最大光合成速度(Pmax)は白化現象を起こしていない葉の方が
有意に高い(P<0.001)ことから、白化現象は光合成速度を低下させることが分かった。
ここで、群落の物質生産の数学モデルへ光合成のパラメータを代入して計算すると、
群落単位では葉の白化現象による光合成、
物質生産量の減少はほとんど見られないことが明らかとなった。
<考察>白化現象は、個葉レベルで光合成速度を低下させるものの、
シュート・群落レベルでの光合成生産にはほとんど寄与しない。
このことは、白化現象が現存する個体群の栄養生長に影響を与えるものではないことを示している。
一方で、野外観察から花序と白化現象との時空間的な一致が明らかにされ、
白化現象が有性生殖と強く関係している可能性が示唆された。
本研究では、白化現象の光合成に関わる生態的意義を明らかにすることは出来なかったが、
白化現象と無花被花の有性生殖に関わる生態的意義を追っていきたいと考えている。
植物にとって、葉は光合成や蒸散の場として重要な器官の一つである。
とくに、光合成による物質生産は植物の生長や種子生産を規定し、
個体の生存や個体群の維持に重要な働きを持つ。
このため植物にとって、光合成を行う葉という空間の大きさや分布を最適化して、
より効率よく光を受け取ることはとても重要になる。
本研究の材料であるハンゲショウ(Saururus chinesis Baill.)は、
湿地に生息するドクダミ科ハンゲショウ属の多年生草本で、
茎の上部に無花被花からなる穂状花序を付ける。
そして、6~ 7 月に茎先に近い数枚の葉の表面が白く変化するという特徴を持つ。
白化(黄化)は病気や傷害によって葉が変色する場合にも見られるが、
ハンゲショウの葉の白化現象は限られた季節に局所的に生ずることから、
病気や傷害によるものとは異なると考えられる。
このように季節的・局所的に葉の白化現象が生ずることから、
ハンゲショウにとって何らかの生態学的意義を持っているのではないかと考えられる。
ここで、葉の表面が白く変化するという現象が葉緑素の減少によるものだとすれば、
光合成能力の低下を引き起こして生産を行う場を減らし、
結果として光合成による物質生産量を減少させていると考えられる。
このため本研究では、葉の白化現象と光合成との関係に着目し以下の調査を行った。
ハンゲショウのフェノロジーや群落の構造を調べ、白化現象の季節性・局在性について調査する。
白化した葉と白化しない葉の生理的な特性の違いを調べ、白化現象が光合成へ与える生理面での影響を調査する。
受光量と光合成速度の測定結果から、白化現象が光合成による物質生産量へ影響を推定し、それがハンゲショウに与える影響を調査する。
<方法>菅生沼上沼付近西岸(茨城県岩井市と水海道市の市境)の湿地に生育する
ハンゲショウ群落を対象として調査を行った。
5 月2 日に15 本のシュートをマーキングし、
草丈・葉数・白化現象の有無・花序の様子を追跡調査した。
また、群落の葉群構造を把握するため、
ほぼバイオマスがピークとなる 8 月の上旬に層別刈り取りを行った。
4 月 11 日から連続的に、ハンゲショウ群落内の気温・地温・光量子密度の測定を行った。
菅生沼の調査地から 4 月 11 日にハンゲショウの地下部を採取し、
筑波大学陸域環境実験センター内の温室にて栽培した。
携帯型光合成蒸散測定装置LI-6400 を用いて白化した葉と白化しない葉の光合成能力を測定し、
光-光合成曲線を作成した。
受光量と光合成速度のデータを、
群落の物質生産を記述する門司‐佐伯数学モデル(1953)に入れて光合成による物質生産量を推定し、
一部の葉が白化した場合と全ての葉が白化しない場合を比較した。
<結果>フェノロジーを調べた結果、
6 月終わり~ 7 月初めにかけて茎先の一部の葉が白化現象を起こし始め、
9 月終わりまで徐々に緑色に回復するという、白化した葉の動向が明らかとなった。
また、花序の出現時期と葉の白化現象の始まりはほぼ一致していること、
そして花序の出現する近傍で白化現象が起こる傾向のあることが明らかとなった。
また、全てのシュートが白化現象を起こすのではなく、
花序をつけない場合に白化しない傾向も見られた。
さらに、葉群構造を調べた結果、
白化現象を起こす葉の割合は葉群全体の約 0.4%に過ぎないことが分かった。
白化する葉と白化しない葉の光-光合成曲線を作成し、
近似曲線(Pmax ( 1 - exp( - f I / Pmax ) ) - R )のパラメータを求めた。
ただし、Pmax:最大光合成速度、f:初期勾配、I:光強度、R:呼吸速度。
その結果、最大光合成速度(Pmax)は白化現象を起こしていない葉の方が有意に高い(P<0.001)ことから、
白化現象は光合成速度を低下させることが分かった。
ここで、群落の物質生産の数学モデルへ光合成のパラメータを代入して計算すると、
群落単位では葉の白化現象による光合成による物質生産量の減少は
ほとんど見られないことが明らかとなった。
<考察>白化現象は、個葉レベルで光合成速度を低下させるものの、
シュート・群落レベルでの光合成生産にはほとんど寄与しない。
このことは、白化現象が現存する個体群の栄養生長に影響を与えるものではないことを示している。
一方で、野外観察から花序と白化現象との時空間的な一致が明らかにされ、
白化現象が有性生殖と強く関係している可能性が示唆された。
本研究では、白化現象の光合成に関わる生態的意義を明らかにすることは出来なかったが、
白化現象と無花被花の有性生殖に関わる生態的意義を追っていきたいと考えている。
*     *     *
 
「令和陸年(皇紀2684年)6月8日、記」


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