今年の読書(158)『汐汲坂のカフェ・ルナール』折口良乃(メディアワークス文庫)
Nov
29
横浜元町にほど近い汐汲坂の途中にある喫茶店「カフェ・ルナール」は、24歳の美人店長<望月葛葉>のこだわりの紅茶が飲める店ですが、訪れる客の悩みを訊き、その謎を解くこととして有名でした。
横浜の大学に通うため、伯父<芦屋甚五郎>の紅茶専門店「薫」でアルバイトする<菱川春明>は、<甚五郎>と娘<蜜>も<葛葉>が知り合いだということで、自分の悩みを打ち明けに「カフェ・ルナール」に出向いていきます。
「ルナール」とはフランス語で「狐」と言う意味ですが、嘘か真か自ら「狐」と名乗る<葛葉>に<春明>は魅かれていきます。
なぜか店から出ることのない<葛葉>ですが、聞き及ぶ情報だけで謎を解く連作短篇が4篇納められていて、ウイットの効いたエピローグが印象的でした。