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- 今年の読書(52)『ホワイトラビット』伊坂幸太郎(新潮社)
伊坂幸太郎の本が今年に入って続けざまに刊行されています。殺し屋シリーズの『AX』が7月、そしてこの『ホワイトラビット』が9月に、さらに『クリスマスを探偵と』(河出書房新社)が10月に出版されます。伊坂ファンにとってはうれしいことで、著者の作品としては 『夜の国のクーパー』 以来になりますが、本書を読んでみました。
本書は伊坂が住む仙台が舞台です。誘拐組織に属する主人公は、同じ組織に妻を誘拐されてしまう。解放のため、ある一軒家に乗り込みますが、大掛かりな人質たてこもり事件となってしまい、収拾がつかなくなります。
仙台が舞台の伊坂作品というと、映画化もされた『ゴールデンスランバー』(2008年、山本周五郎賞受賞)を思い浮かべてしまいます。警察に追われ仙台市内を転々としながら脱出の機会をうかがう主人公<青柳雅春>に声援を送ったものです。今回は籠城ミステリーの趣の作品となっています。果たして脱出は可能なのか?
本書で面白いのは書かれている文体です。三人称と一人称が混在しています。その叙述のマジックに読者は圧倒されてしまいます。伊坂ワールド健在です。
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