「テントウムシの羽の模様を決める遺伝子の特定」@自然科学研究機構基礎生物学研究所
Sep
21
共同研究グループの<新美輝幸>基礎生物学研究所教授(分子昆虫学専攻)によると、「ナミテントウ」 のゲノム(遺伝情報)を解析し、「パニア遺伝子」と呼ばれる遺伝子に、黒色色素の合成を促す一方で、赤色色素の沈着を抑制する働きがあることをつきとめています。
テントウムシ科の「ナミテントウ」は、背中の斑点の数が異なるなど、200以上の模様があります。実験で、サナギから「パニア遺伝子」の働きを失わせたところ、黒色の斑点がなくなり、羽全体が赤っぽい色に成長しました。七つの斑点がある 「ナナホシテントウ」 で行った同様の実験でも、羽全体が赤みを帯びたことから「羽の模様を決定する遺伝子」と結論づけられています。
「パニア遺伝子」はこれまで、「ショウジョウバエ」の背中の毛の生え方に関与する遺伝子として知られていました。「ナミテントウ」と「ナナホシテントウ」が2種に分岐した、少なくとも3390万年以上前には存在したとみられています。<新美>教授は「天敵からの捕食を逃れるため、模様を変化させる擬態に重要な役割を果たした」と分析しています。