京都電気鉄道の「二号電車」(京都市左京区・平安神宮)(画像:文化庁)
国の文化審議会は19日、日本初の路面電車として知られる民間の「京都電気鉄道(京電)」が、明治時代などに市街地を走らせた車両(京都市交通局二号電車)1両を重要文化財(重文)にするよう、文部科学相に答申しています。京都市左京区の平安神宮が所有し、路面電車では初めての重文となります。交通史や科学技術史において価値が高いと評価されました。
「二号電車」は、1911年(明治44年)、堺市の梅鉢鉄工場で製造されました。電動機や台車など一部に外国製品を用いていますが、1両編成の先駆的な国産車両として、国内の路面電車の規範になりました。長さ8.23メートル、幅1.98メートルで、現存している京電車両群のうち製造年代が最古級になるといいます。
京電は、1895年(明治28年)、京都駅に近い京都市・東洞院塩小路下ルと伏見町・下油掛間で開業しました。岡崎などへの路線も営業しましたが、後発の京都市電と競合し、1918年(大正7年)に市によって買収されています。「二号電車」は1961年(昭和36年)に市電北野線が廃止されるまで走行し、廃車時の状況をよくとどめています
翌年、平安神宮が市から車両をもらい受け、南神苑で展示しています。平安遷都1100年の記念事業で、1895年に第4回内国勧業博覧会が近くで開かれた際、岡崎への公共交通として京電が利用された由縁がありました。
平安神宮は「記念事業に際して神宮が創建、京電が開業したゆかりから、近代日本の発展とともに歩んだ車両を預かったいきさつがあります。重文指定は喜ばしく、後世に伝えられるよう保存展示したい」としています。
重文の電車車両は「ナデ六一四一号電車」(鉄道博物館、さいたま市)、「東京地下鉄道一〇〇一号電車」(地下鉄博物館、東京都江戸川区)に次いで、3件目となります。
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