本日お茶菓子としていただいたのは、夏らしい和菓子としての「葛饅頭」です。
四季を彩る和菓子にも知恵が隠れています。夏の和菓子としてまず思い浮かぶのが「葛饅頭」です。餡子が葛の透明感に映えて、水羊羹ともゼリーとも違うぷるんとした食感が食べやすい和菓子です。
なぜ「葛饅頭」が夏の風物詩といえるのでしょうか。
水を使っていて、さっぱりしているし、透明感があって涼しげだからだけではなく、実は原料の<葛>の性質に秘密があります。
<葛>は、薬膳の五味五性でいうと甘味・涼性に分類されます。体を強く元気にし、少し体を冷やす方向にもっていく効用があるのです。主な働きとしては、解熱作用があり、胃腸に効く漢方薬として使用されるほど、胃腸に優しい食材です。また、口や喉の渇き・痛みを癒したり、体の水分を補う効能があります。
つまり、<葛>は夏の暑い時期に体の熱を摂ってくれ、さらには冷たい飲み物のがぶ飲みによって冷えて弱った胃腸に効くというわけです。ただ見た目が涼やかなだけでなく、夏の体そのものにもぴったりの和菓子です。何気なく食べていたものも、実は意味があった組み合わせであることが多く、先人の知恵に驚かされます。
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