「承久記絵巻」全6巻が約80年ぶりに再発見@京都文化博物館
Oct
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「平家物語」をはじめ中世の4大軍記物語で唯一、絵巻の詳細が確認されていなかったため、承久の乱の絵画表現が初めて分かる貴重な資料だといいます。
絵巻はいずれも幅約50センチ、長さは15メートル前後。収められた木箱には、絵は室町時代から戦国時代にかけて活躍した絵師の<土佐光信>、詞書は能筆で知られた「月輪禅定太閤」こと関白<九条兼実>(1149~1207年)によると記されていましたが、料紙(和紙)に施された金泥の装飾や絵の色遣いなどから、江戸前期に制作されたとみられています。絵も詞書も複数の作者で手分けし、同時期に完成したとも考えられるとか。
絵は36場面あり、鎌倉幕府3代将軍<源実朝>が討たれる直前に鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)を参拝している様子から、文武に優れた<後鳥羽上皇>が幕府執権<北条義時>の追討を命じて敗れ、隠岐(島根県)に流されるまでが描かれています。第2巻には、<後鳥羽上皇>の動きを知らせる御家人と<義時>の姿が描かれていますが、<義時>の肖像はこれまで他に例がないといいます。詞書は鎌倉時代か南北朝時代に成立し、活字本などで広く普及した版の承久記に最も近く、大きな相違点はありません。