厚生労働省の医薬品に関する専門部会は21日、新型コロナ感染症の治療薬候補「アビガン」の承認を見送り、新たなデータの提出を待ってから再審議することを決めています。
開発した富士フイルム富山化学などからこれまでに得られたデータでは、有効性を明確に判断するのが困難なことが理由にあげられています。
富士フイルム富山化学は10月、治験結果を基に承認申請。承認されれば「レムデシビル」「デキサメタゾン」に続く国内3番目の治療薬となりました。治験は重篤を除く患者計156人が対象で、「アビガン」を投与した患者は偽薬投与の患者よりも症状が軽快し、陰性になるのが約2.8日短くなったとしていましたが、関係者によりますと「偽薬は効かない」との先入観から、医師が適切に判断できていない事例があったといいます。
「アビガン」は同意した患者に「観察研究」として既に投与されていますが、動物実験では胎児に奇形が生じる副作用が報告されており、妊婦らには使用できません。
「アビガン」をめぐっては、安倍晋三前首相が国産治療薬として5月中の承認を目指す方針を表明していました。その後、臨床研究での有効性確認が間に合わず同月の承認が断念された経緯があります。
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