武士道の世界を舞台として、ホロットさせられる人情物語の語り手として好きな作家の<葉室麟>の『蛍草』は、2015年11月15日に文庫本になっています。
また、2019年に『螢草 菜々の剣』と題しNHK BSプレミアム「BS時代劇」にて、<清原果那>主演として(7話)構成でテレビドラマ化されています。
主人公の16歳の「菜七」は、父「安坂長七郎」が藩内で犯した刃傷沙汰事件で切腹させられたことを隠し、同じ藩の「風早一之進」家の女中になります。当主の「一之進」や奥方の「佐知」に優しく迎えられ、二人の子供たちと平和に暮らしていましたが、「佐知」が病気でなくなり、「一之進」は父の切腹の原因となった「轟平九郎」の策略にはめられ、遠方へ蟄居させられてしまいます。
二人の子供たちを預かることになった「菜七」は、亡き父の仇でもある「轟」に対して、また、前藩主の不正に対して、ある決意を持って立ち上がります。
苦境に負けず、ひたむきに生きる16歳の奮闘記でもあり、ほのぼのとした恋心を秘めながら、脇を固める登場人物たちの人情味を重ねながら、物語の展開は、最後まで飽きさせることなく読み手を導く、<葉室麟>の世界に浸れる一冊でした。
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