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  • 今年の読書(36)『美しき愚か者のタブロー』原田マハ(文春文庫)

今年の読書(36)『美しき愚か者のタブロー』原田マハ(文春文庫)

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今年の読書(36)『美しき愚か...
<原田マハ>の美術関係として『異邦人(いりびと)』を読んだばかりですが、本書『美しき愚か者のタブロー』は、2019年5月31日に単行本が刊行されていますが、2022年6月10日に文庫本が発売されています。

主人公に「日本に美術館を創りたい」という夢を追い求めた不世出の実業家・初代川崎造船所の社長であり『神戸新聞』の創業者<松方幸次郎>を据え、関係する人物に美術史家「田代雄一」や「吉田茂総理」・画家「クロード・モネ」といった人物を配し、第2次世界大戦下のフランスで「松方」の絵画コレクションを守り抜いた孤独な飛行機乗り「日置釭三郎」など、史実に沿いながら、著者<原田マハ>の世界をつくりあげ、文庫本で解説を吹極め483ページ、面白く読み終えました。

建築設計者の立場としては建築家<ル・コルビジェ>と国立西洋美術館の誕生にまつわる逸話や、画商や西洋絵画(タブロー)にまつわる秘話が楽しめた物語でした。

日本人のほとんどが本物の西洋絵画を見たことのない時代に、ロンドンとパリで絵画を買い集めた「松方幸次郎」は、絵画に対して「審美眼」を持ち合わせない男でした。絵画収集の道先案内人となった美術史家の卵「矢代幸雄」(文中名:田代雄一)との出会い、『いりびと』でも重要な役割を果たしていた『睡蓮』の「クロード・モネ」との親交、何より「ゴッホ」や「ルノアール」といった近代美術の傑作の数々によって美に目覚めていく「松方」でしたが、戦争へと突き進む日本国内では経済が悪化、川崎造船所の破産の憂き目に晒されます。

志半ばで帰国した「松方」に代わって、戦火が迫るフランスに単身残り、絵画の疎開を果たしたのは謎多き元軍人の「日置」でしたが、日本の敗戦とともにコレクションはフランス政府に接収されてしまいます。しかし、講和に向けて多忙を極める首相「吉田茂」は、コレクション返還の可能性を探ります。

1枚の絵画に秘められた、特に表紙になっています「ゴッホ」の『アルルの寝室』(現在:オルセー美術館蔵)は、物語のキーポイントとなるタブロー(絵画)として印象に残る場面で使用されていました。
#ブログ #文庫本 #絵画 #読書

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