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今年の読書(12)『サン&ムーン』鈴峯紅也(小学館文庫)

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今年の読書(12)『サン&ムー...
好きな警察小説ということで、新聞広告で「親子刑事」の言葉が目についた<鈴峯紅也>の『桜人』ですが、「警視庁特別捜査係」シリーズとしてすでに1作目の『サン&ムーン』が出ているということで、シリーズとして最初から読んでみようと本書を手に取りました。2021年4月4日に文庫本書下ろしとして発売されています。

東京湾に接する野鳥公園と東海ふ頭公園で、早朝に連続放火事件が発生します。同時にその付近の、みなとが丘ふ頭公園と大井ふ頭中央海浜公園では、3件の連続殺人事件が発生していました。
湾岸・大森・大井、三つの所轄署の管轄で、連続放火事件と連続殺人事件が、時を同じく起こったことになります。

すぐさま捜査本部が設置され、応援要員に狩り出された、湾岸署に勤める「月形涼真巡査」は、警察学校の同期で、恋人「中嶋美緒」の兄でもある「健一」が、連続殺人事件の被害者だとわかり、身内・関係者の捜査には参加できないところ、弔い合戦を決意します。
「涼真」がコンビを組むことになったのは、なんと、突然会議を割って入ってきた、警視庁所属の警部補で、離婚して以来会う父の「日向英生警部補」でした。
警察上層部に顔が利く、エリートキャリアで警視監の母「月形明子」の差し金らしく、息子の指導係に、元夫を送り込んだようです。
「涼真」と20年にわたる暴力団への潜入捜査を務めてきた「英生」の親子刑事は遊班として、ふたつの事件解決に奔走します。

父親の刑事としての矜持と操作方法を学んでいく「涼真」でしたが、地道な「英生」の捜査の先に見えた犯人は、意外な人物でした。

警察組織に携わる〈母・父・息子〉の親子関係を階級社会の警察組織と絡ませ、「涼真」の今後の刑事としての成長が楽しみなシリーズになりそうです。
#ブログ #文庫本 #読書

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