今年の読書(6)『彼女たちのまなざし 日本映画の女性作家』北村匡平・児玉美月(フィルムアート社 )
Jan
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映画研究者 /・批評家の<北村匡平>、映画文筆家の<児玉美月>による共著『彼女たちのまなざし 日本映画の女性作家』が、(フィルムアート社 )より2023年12月26日に発売(2640円)されています。
「映画監督」と呼ばれる人々が一人残らず女性であったなら、当然そこに「女性監督」という呼称は生まれなかった。かつて映画監督には、男性しかいないとされていた時代がありました。そのような時代は果たして本当の意味で「過去」となりえているのだろうか?本書は、この問題提起を出発点として、日本映画における女性作家の功績を正当に取り上げ、歴史的な視座を交えながらその系譜をたどり、彼女たちのまなざしから日本映画の過去・現在・未来を読み替えていくことを試みる、これまでにない映画批評です。
対象をあえて女性のみに限定し、大勢の男性作家たちのなかにいる数少ない女性作家という図式をまずはいったん解体することから始めるというアプローチから、これまでの日本映画の歴史にひそむ性の不平等や権力の不均衡の問題にせまり、日本映画史の捉え直しを通して、新しい羅針盤を描き出しています。
本書内で取り上げられている主な作家は、<西川美和>、<荻上直子>、<タナダユキ>、<河瀨直美>、<三島有紀子>、<山田尚子>、<瀬田なつき>、<蜷川実花>、<山戸結希>、<中川奈月>、<大九明子>、<小森はるか>、<清原惟>、<風間志織>、<浜野佐知>、『月は上りぬ』(1955年)など6作品を残している<田中絹代>の16人です。
作家ごとの評論だけでなく、日本映画史における女性監督の系譜、次世代の新進作家の紹介、今観るべき日本の女性監督作品の100作品のガイドもまとめられています。