韓国「非常戒厳」を宣言@<尹錫悦大統領>
Dec
3
3日夜、韓国の<尹錫悦大統領(ユン・ソンニョル)>は緊急談話を発表し、野党が多数の弾劾を試み、「国政がまひ状態にある」などとして、1987年の民主化後初めて「非常戒厳」を宣言しました。
戒厳司令部は、国会や政党などの政治活動を禁止し、言論と出版が同司令部の統制を受けるとの布告を発表。国会が4日未明の本会議で戒厳令解除を求める決議案を可決したことを受け、<尹錫悦大統領>はテレビ中継を通じ解除を発表しました。
<尹錫悦大統領>は、北朝鮮に従う「従北勢力を一挙に撲滅する」と戒厳令を突然発表。<金龍顕国防相>は軍に警戒、態勢強化を指示し、国会に軍が進入しました。約6時間での解除表明となったものの、政治の混乱はしばらく続きそうです。
韓国で戒厳令が出されるのは、抗議する市民が軍に鎮圧され犠牲になった「光州事件」へとつながった1980年以来、44年ぶりになります。<尹錫悦>政権の支持率はこのところ約20%と低迷。政権の求心力低下が著しい状況下で、権力回復へ形勢逆転を狙った大胆な行動に出ましたが、失敗に終わりました。
国会は4日未明、戒厳令の解除を求める決議案を可決。<禹元植国会議長>は「戒厳解除決議案が可決されたことにより、戒厳令の宣告は無効となる」と述べています。憲法は、国会議員の過半数が賛成し解除を求めた場合、大統領はこれを解除しなければならないと定めています。
国会では、革新系最大野党「共に民主党」が過半数を占め、国政運営を思うように進められない状況が続いています。<尹錫悦大統領>は3日の談話で、野党が政権や検察などへの弾劾訴追案を多数発議する状況は「建国以来、全く例がない」と言及。野党が2025年の予算案に反対し「政争の手段」としていると批判しました。4日の解除発表の談話でも「国の機能をまひさせる非道な行為を直ちに中止するよう国会に要請する」と訴えています。
共に民主党は「国会議員一同」名で決議文を出し、<尹錫悦大統領>の即時退陣を要求。辞職しない場合、直ちに弾劾手続きに入ると宣言しました。一方、与党「国民の力」の<韓東勲代表>も、<尹錫悦大統領>が直接国民に状況を説明し、戒厳を建議したとされる<金国防相>の解任といった対応を取るべきだと主張。大統領府の首席秘書官ら<尹錫悦大統領>の側近は、一斉に辞意を表明しています。