今年の読書(4)『ゴジラvs.自衛隊 アニメの「戦争論」』小泉悠・他(文春新書)
Jan
30
<小泉悠>、<高橋杉雄>、<太田啓之>、<マライ・メントライン>が手がけた(文春新書)が『ゴジラvs.自衛隊 アニメの「戦争論」』です。
本書は、アニメや特撮の世界を軍事専門家らが語る構成になっています。
「『機動警察パトレイバー』首都防空通信は実際に自衛官の目にどう映ったのか」・「『新世紀エヴァンゲリオン』の世界ではソ連は崩壊していない」・「『風の谷のナウシカ』のバカガラスはナチスドイツで開発されたギガントと同様の運用がなされている」・「『宇宙戦艦ヤマト』の多層式航宙母艦の運用構想は、日本海軍の三段式時代の空母『赤城』と同じなのか」・「『シン・ゴジラ』で使用が検討される核兵器は、名前が違う?」といったトピックが語られています。
私たちがアニメや特撮や仮想戦記について語るときには、いつの間にかそこに仮託された何か別のものについて語っているという形がが多いようです。「ゴジラ」に投影された「戦後ニッポン像」というテーマは、本書に限らず繰りし語られてきたものですが、では「エヴァゲリオン」の中の日本ではどう扱われているのでしょうか。
本書は、アニメをきっかけとしたサブカル風時事評論集としても楽しめることができる一冊です。