僕らが夢見ていたこと
Nov
27
残る99.3%は核分裂を起こさないウラン238なのだ。
ウラン238は核廃棄物として処分するしかないものであるが、中性子を吸収することにより新しい燃料のプルトニウム239に変わる性質をもっている。
この性質を利用することができれば、ウラン資源の使用率は理論上0.7%→60%に向上する。
さらに核廃棄物の問題も解決へと大きく前進する。
それを実現するのが高速増殖炉「もんじゅ」だ。
これが成功すれば、日本は技術を持つ資源国になる。
ある意味、エネルギー輸入国から輸出国になる。
自動車をはじめとして化石燃料に依存していた多くのものが電気利用に変わり、CO2排出の極めて少ない国が出来上がる。
誰もが恐れる高度なバランスの上に成り立つ技術を、完全にコントロールする世界でただ一つの国「日本」。
311、その夢は消えた。
将来的に軽水炉の全面廃止という事になれば、高速増殖炉の出番はない。
「もんじゅ」は廃炉される事になるだろう。
だけど、ただ馬鹿にしてほしくはない。
日本の技術者が見ていた壮大な夢が、どれほどのものだったかを知ってもらいたい。
あの震災で、日本は本当に大きなものを失った。
物質も経済も、そして価値観も。
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さて、日本では震災以降原子炉の稼働率が激減し、CO2排出量が激増している。
鳩山政権が行った国際公約は達成されることはなく、日本は大量の排出権を税金で購入する事になる。
ほとんどの人たちが太陽光や風力など、まあなかなか壮大なスケールの夢にすがっているが、国の政策には常にオプションが必要だ。
そのオプションとは核融合炉。
原子力に伴う膨大な予算を核融合研究にまわし、海水中に含まれる重水素を燃料とする恒久的なエネルギー確保の研究も進めなくてはならない。
できるにきまっている事をやるのは簡単だ。
できないかもしれない事をやることに価値がある。
人類の見果てぬ夢へ!